2014 Fiscal Year Annual Research Report
オープンセル型ナノポーラスシリコンの開発と長寿命大容量リチウムイオン電池への応用
Project/Area Number |
25246009
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
加藤 秀実 東北大学, 金属材料研究所, 教授 (80323096)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
和田 武 東北大学, 金属材料研究所, 助教 (10431602)
市坪 哲 京都大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (40324826)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | リチウムイオン二次電池 / 負極材料 / シリコン / ナノ多孔体 |
Outline of Annual Research Achievements |
省エネルギー促進の目的から、ハイブリッド自動車や電気自動車が実用化され、これらの駆動用電源として大容量・高サイクル寿命のリチウムイオン蓄電池(LIB)が必要になっている。シリコンは単位重量当たりのリチウム吸蔵量が最も大きい元素であり、これを用いることでLIBの大容量化が可能となる。しかし、シリコンにリチウムを吸蔵させると体積が最大で約4倍に膨れ上がり、電極が破壊されてしまうため、サイクル寿命が短い。本研究では金属溶湯中で起こる脱成分反応(合金から特定の元素が選択的に取り除かれ、残された元素がポーラス構造を自己組織化する現象)を利用してナノポーラスシリコンを作製しLIB電池電極の大容量化を達成するとともに、ナノポアによる体積膨張緩和効果による高サイクル寿命化を目的としている。 これまでの研究成果により、ナノポーラスシリコンの作製条件と生成するポーラス構造(ポアサイズ、リガメントサイズ等)を明らかにすることができた。開発したポーラスシリコン粉末を活物質に用いてLIB電極を作製し、ハーフセルの電池評価を行ったところ、現行の黒鉛電極の約6倍の容量である2000mAh/gでの充電放電繰り返し試験ではその容量を220回維持した。一方で、黒鉛電極の約3倍の容量である1000mAh/gでの充電放電繰り返し試験では、1500サイクル超まで性能を維持することがわかった。今回開発したナノポーラスシリコンを負極活物質に用いることにより、LIBの負極容量を飛躍的に拡大できるとともに高サイクル寿命を達成できることが示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ポーラスシリコンの構造制御マップの構築、ハーフセルでのリチウムイオン二次電池特性評価とその最適化、走査電子顕微鏡(SEM)・集束イオンビーム(FIB)加工を用いた電極構造の観察と破壊メカニズムの考察等、平成26年度までに計画されていた研究計画はほぼ達成できており、おおむね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
1.デアロイング反応設計を拡張して、不純物が添加されたナノポーラスシリコンの作製方法を確立し、活物質の電気伝導性を向上させることで負極特性の更なる改善を試みる。 2.前年度にハーフセルによりナノポーラスシリコンの電極特性を把握できたので、本年度はフルセルでの電池特性評価を行い、本負極がリチウムイオン二次電池として動作することを実証する。 3.ナノオープンポーラスシリコンに最適な電池部材(電解液、添加剤、バインダ、セパレータ、集電体)を探査する。 4.透過電子顕微鏡ナノトモグラフィを用いてナノポーラスシリコン活物質および電極構造の定量的評価を行う。また、電池動作中もしくは動作後の負極構造をX線トモグラフィによって調べ、充放電時の負極の破壊メカニズムを明らかにする。 上記の4件に基づいて、最も優れた容量・サイクル寿命を呈するリチウムイオン二次電池を開発する。
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Remarks |
本研究成果が2014年7月15日付の日刊工業新聞に掲載された。
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