2013 Fiscal Year Annual Research Report
表面X線回折直接法によるトポロジカル絶縁体超薄膜の電子密度分布精密解析
Project/Area Number |
25246026
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (A)
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
高橋 敏男 東京大学, 物性研究所, 教授 (20107395)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
秋本 晃一 日本女子大学, 理学部, 教授 (40262852)
白澤 徹郎 東京大学, 物性研究所, 助教 (80451889)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 表面構造 / X線回折 / トポロジカル絶縁体 / 位相問題 / ホログラフィ / 反復位相回復 / 電子密度分布 / 原子分解 |
Research Abstract |
超薄膜試料の精密な電子密度分布を得るためには、逆格子ロッドにそったX線回折強度分布を3次元的に広範囲に測定する必要がある。本研究では、超高真空中で超薄膜試料を作製し、試料を超高真空中に保持したままX線回折実験を行う必要がある。本年度は、このようなことが実現可能な超高真空装置を設計製作した。同装置は薄膜試料作製用の超高真空チャンバーおよび切り離し移送可能な小型超高真空チャンバーから構成される。小型超高真空チャンバーは、放射光で利用されている標準的な大型回折計に搭載できるように設計製作した。薄膜試料作製用の超高真チャンバーには、試料マニピュレーターおよび反射高速電子線回折(RHEED)装置を取り付けた。RHEEDは薄膜成長時の膜厚測定と結晶性評価に用いられる。 本年度は、超高真空中での回折実験が行えないので、Bi2Se3超薄膜を測定の対象として大気中で予備実験を行った。試料作製には既存の超高真空槽を用いた。Bi2Se3はバルクでは代表的なトポロジカル絶縁体の1つであるが、超薄膜ではある臨界膜厚(約6nm)以下ではトポロジカル絶縁体の性質を失い、表面(エッジ)状態にバンドギャプが生じる。本年度は、臨界膜厚前後の厚さの試料を作製し格子定数の測定を行った。臨界膜厚より厚い試料では、格子定数はぼぼバルクと同じであったが、薄い試料ではc軸の長さが数%縮んでいることが分かった。これと並行して、CuをdopeしたBi2Se3についても試料作製条件を求めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
放射光X線回折実験に適した超高真空装置は、既存の実験ビームラインの空間的な制約もあり設計には困難を伴い経験熟練を要すが所期の装置を設計製作できた。 超高真空中での回折実験ができなかったにもかかわらず、大気中の予備実験で一定の成果を得た。
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Strategy for Future Research Activity |
放射光X線回折実験に敵した超高真空装置が完成したので、今後は本装置で試料作製を行い、切り離し可能な小型超高真空チャンバーを使い実験を行っていく。試料作製法は既存の真空装置で得た作製条件を利用し実験の効率化を図る。Bi2Se3の膜厚依存性については、格子定数にとどまらず、反復位相回復法を駆使して原子層に分解した電子密度分布として解析し、得られた結果と電子状態との関係を調べる。また、CuドープのBi2Se3については、Cuの組成比を変えた試料をいくつか作製測定し、同様な解析を行っていき、電子物性との関係を検討する。
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