2014 Fiscal Year Annual Research Report
ナノフォトニクス、画像認識技術、金属錯体の融合による菌類同定システム研究
Project/Area Number |
25246033
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
粟津 浩一 独立行政法人産業技術総合研究所, 電子光技術研究部門, 研究部門付 (60356392)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
村川 正宏 独立行政法人産業技術総合研究所, 人工知能研究センター, 研究チーム長 (10358153)
島 隆之 独立行政法人産業技術総合研究所, 電子光技術研究部門, 研究グループ付 (10371048)
藤巻 真 独立行政法人産業技術総合研究所, 電子光技術研究部門, 研究グループ長 (10392656)
野里 博和 独立行政法人産業技術総合研究所, 人工知能研究センター, 主任研究員 (40435764)
園田 与理子 独立行政法人産業技術総合研究所, 電子光技術研究部門, 主任研究員 (70357333)
坂無 英徳 独立行政法人産業技術総合研究所, 人工知能研究センター, 主任研究員 (80357102)
高橋 栄一 独立行政法人産業技術総合研究所, 人工知能研究センター, 主任研究員 (80357368)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 光記録 / 情報技術 / 金属錯体発光体 |
Outline of Annual Research Achievements |
光ディスクチーム:光ディスク試料上に分散した菌(大腸菌等)を高速回転中に計測する手法において、取得する菌イメージの高精細化を行った。H25年度までは計測ピッチが0.74μm×0.125-0.5μm(半径方向×接線方向)、強度は256階調の条件でデータを取得していたが、H26年度は計測ピッチが0.4μm×0.125μm、強度は1024階調の条件で取得する変更を行い、各種菌の形状や光学特性に係わる情報量を増やした。金属錯体からの蛍光観察について大きさが数十μmの塊状であれば高速回転中に波長405 nm励起にて計測を行うことができたものの、菌個々の大きさである数ミクロン以下のときはこれまでに計測を行うことはできていなかった。 発光材料研究チーム:発光測定系を製作し測定を行った。大腸菌、カンピロバクター、黄色ブドウ球菌による発光波長、発光寿命を測定し、金属錯体合成にフィードバックさせた。大腸菌、カンピロバクター、黄色ブドウ球菌による違いが発光波長、発光寿命として大きく現れる発光部位を工夫した金属錯体を見出し、菌種の相違の蛍光識別までを視野に入れた新規発光材料の開発を目指した。発光部位としてビピリジンヘキサトリエンを有する新規亜鉛錯体を作製した。 パターン認識研究チーム:高精細化された菌イメージにより劇的に増大するデータ量に対応するためクラウドコンピューティングやデータマイニングなどの手法によりデータを効率的に収集および管理し、高速かつ高精度に処理可能な技術確立を目指して研究を行った。実際には光記録による読み取り信号(1次元)から適切にノイズを除去し、表面に付着した細菌の反射率変動から画像形式の2次元データとして再構築した。その際、ディスク毎に異なるノイズレベルや信号強度による推定結果への影響を抑制するため統計処理やフィルタ処理によるノイズ処理、バラツキを抑えるための正規化処理を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
光ディスクチームでは、H26年度はフォトンカウンティングなどの手法を検討し、蛍光検出の高感度化を図った。培地層について、培地の成分を含む樹脂をスピンコートする方法にて層形成する検討を進めた。光ディスク計測にとって好適な膜厚1μm程度にまで薄膜化することはできたものの、肝心の菌増殖性能が高温高湿下においても確認できなかった。通常の培地とは異なり薄膜にしたことが一因と推察されるが、今年度は培地と樹脂の混合比率や、培地の種類を変えるなどして、光ディスク計測に適用可能な薄膜培地層の実現を目指す。 発光材料研究チームではこの錯体の光学特性として最大吸収波長377nm、最大発光波長464nm、発光量子収率2%、発光寿命0.034ns(いずれも50%エタノール中)を得た。更に405nm光励起により大腸菌に対する蛍光認識能を実証した。H26年度は、発光部位の化学的修飾による吸収の長波長化、発光量子収率の増大及び発光の長寿命化を行った。 パターン認識研究チームでは、再構築した画像データから高次局所自己相関 (HLAC) 特徴にもとづくパターン認識と統計的機械学習処理に菌数を推定する処理においては、ノイズレベルによる影響を受けにくい特徴量を導入するなどして、推定精度の向上を図った。 さらに、薄膜培地層がコーティングされた光ディスクからの菌イメージや、高感度化された蛍光観察像に対応する処理方式を検討および評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
光ディスクチームでは、光ディスク面内での位置情報を高精度に決定する技術をベースに、光走査によって得られる菌イメージングの高精細化を検討する。また同種であっても菌形状は一様でないため、イメージングの数を大幅に増やすことで、パターン認識による菌同定の精度向上に寄与する。また蛍光検出のための光学系を高感度化する改善を行い、個々の菌からの蛍光計測を光ディスク回転中に行えるようにする。過去の実験結果から、蛍光剤(及び菌)は凝集する傾向があるが、より菌個々に分散するよう、乾燥方法を含む実験手順の見直しを図る。形状認識と蛍光計測の両結果を総合的に判断して菌の有無及び種類を適切に同定できる仕組みを構築する。 発光材料研究チームでは大腸菌、カンピロバクター、黄色ブドウ球菌に特異的に結合して発光する材料を製作し、発光波長や発光寿命等の特性解析を行う。これまでに上記菌類への認識能を有する新規発光材料(金属錯体)を開発している。H27年度は、発光材料の親水性の向上及び水系での凝集防止、菌類に結合時の発光強度の増大を目標に発光部位の改良を行う。 パターン認識研究チームでは、菌イメージの計数・同定技術に関するこれまでの研究をさらに推し進めて高速化や高精度化を図るだけでなく、他2チームの新方式により得られる多くのイメージを用いて信頼性の検討も行う。すなわちH27年度は、引き続き光ディスクチームが収集する大規模な菌イメージデータに対する画像認識技術の精度向上を進めるとともに、新たに発光材料研究チームが取得した発光データに対する解析技術のフィージビリティスタディに着手する。
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Research Products
(1 results)