2016 Fiscal Year Annual Research Report
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25247006
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| Research Institution | The University of Tokyo |
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Principal Investigator |
小林 俊行 東京大学, 大学院数理科学研究科, 教授 (80201490)
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| Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2018-03-31
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| Keywords | 解析学 / 幾何学 / 表現論 / リー群 / 分岐則 / 不連続群 |
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| Outline of Annual Research Achievements |
(1)【表現の分岐則】研究代表者は、簡約群の無限次元表現の分岐則の研究に関する新しい研究プログラムを提唱した（論文[1])。これは、定性的な分岐則の研究から構成的な分岐則の研究に移行するもので、そのための基礎理論と手法の開発を含む。この構想の概要は、Vogan教授（アメリカ数学会会長）の還暦集会での招待講演、および、日本数学会の70周年の記念講演で研究代表者が発表した。技術的側面として、 Symmetry Breaking Operator (SBO)の構成のためには、研究代表者自身が導入したF-methodが有効であり、その基礎理論を総計100ページを超す論文として出版した（論文[4,5])。さらに、この手法を礎石として、次元が１つ異なる２つの球面の上の微分形式の空間における対称性破れ作用のうち、局所的なものを構成し、それを完全に分類した。約200頁からなる論証は2016年にSpringerから出版された。このブレークスルーはベクトル束値の微分対称性破れ作用について、今後の研究の新しい道を拓くと考えられる。
(2) 【実解析】古典的なRiesz変換を、それが内包する半群の対称性から復元できるかという問題を定式化し、空間の次元を４で割った商によって、この問題が異なる解をもつという現象を発見し、それを解明した(論文[８])。
(3)【擬リーマン局所対称空間におけるスペクトル解析】
擬リーマン局所等質空間におけるスペクトル解析という新しいテーマを提起し、保形性を課さない解の漸近挙動と不連続群の定量的評価を用いる手法、および、不変式論を用いる手法を導入した。100頁を超える論文[3]では前者についての基礎理論を確立した。さらに、論文[2]では幾何構造を変形してもスペクトラムが変わらないという新しい現象についての解明を試み、論文[9]では後者に関するの最初の出版を行った。
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| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
予定していた以上に本格的な研究が進み、次々と長編の論文を（ひとつの分野に特化した専門誌ではなく）総合誌に出版するという形で、研究成果を公開することができた。
これは、夜に日をついで体力の限界までハードワークを続けたこと、研究代表者が提唱してきた新しい研究プログラムが幸運にも実り豊かな数学につながっていることが次第に明らかになってきたこと、そして、技術的には"F-method"という新しい手法をベクトル束に拡張する基礎研究が成功し、それを用いて幾何学に現れる具体的な問題を解こうとする国際チームと良い協力関係を続けたことなどが挙げられる。これらによって、球面の微分形式に作用する微分対称性破れ作用の分類問題を完全に解決でき、以前には見えなかった数学的風景が見え、より本質的に重要な部分を切り開くことにエネルギーを集中できたことが主因であると考える。
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| Strategy for Future Research Activity |
当該研究代表者が主導している
（１）Symmetry Breaking Operatorsの解析
（２）非リーマン局所対称空間上のスペクトル解析
のプロジェクトをフランス、アメリカの研究者等と協力して研究を進める。
特に（１）として、微分作用素として表されないSymmetry Breaking Operatorsの分類問題に関する国際共同研究を行う。そのモデルケースとして、昨年、局所作用素の分類を完成させた、球面の微分形式における対称性破れ作用素のうち、非局所的な作用素となるものの構成と分類の問題に取り組む。並行して、（２）の基盤作りとして、局所対称空間のうち隠れた対称性がある族に対して、スペクトル解析を表現の分岐則の関係から研究を進める。アメリカ、フランス、ドイツ、ポーランド等の重要な国際会議で、最新の成果を講演しする。また、高木レクチャーを７月に京都で、１１月に東京で主催する。さらに８月には玉原で合宿を行い研究グループ全体のレベル向上を図り、9月は保形形式の整数論で対称性破れ作用素に関する連続講演を行う。これらの参加者と先端研究の情報交換を行うとともに、新しい研究活動が遭遇することによってさらに飛躍が生まれる可能性が見込める場を設ける。（１）および（２）はいずれも国際共同研究であり、年度の前半は特にそれを加速させるための出張を行い直接研究連絡を行う。本研究の発展や転機が生じた場合は必要と緊急度に応じて研究組織のメンバーが出張して直接研究連絡を行うか、あるいはその研究協力者を招聘する。
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