2014 Fiscal Year Annual Research Report
大規模数値解析による乱流中の流れ構造の動力学と異方性の解明
Project/Area Number |
25247014
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
木村 芳文 名古屋大学, 多元数理科学研究科, 教授 (70169944)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岡本 久 京都大学, 数理解析研究所, 教授 (40143359)
草野 完也 名古屋大学, 太陽地球環境研究所, 教授 (70183796)
辻 義之 名古屋大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (00252255)
岡本 直也 名古屋大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (80547414)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 乱流 / 大規模数値計算 / 渦運動 / 乱流の異方性 / 流体方程式の解の特異性 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題は乱流研究のフロンティアの開拓を目指し、一様等方性を超えた非等方性乱流中の構造の非線形動力学の解明とそれがもたらす統計理論の構築を行う事を大目標としている。主要な方法論としてNavier-Stokes方程式やEuler方程式といった流体力学の基礎方程式の大規模数値解析を実行し、得られた数値結果に対してこれまでの理論との比較を行い、数学モデルの構築を通して新たな理論構成に発展させていくことを目的としている。特に重要なキーワードとして渦や波といった流れ場の構造の非等方性およびそれに関わる流体方程式の解の特異性を挙げ、主要なテーマとして [a]宇宙・地球流体乱流及びMHD乱流における非等方的な流れ構造の動力学、[b] 非等方性乱流の統計理論とその数値解析、[c] 流体方程式の流れ構造のもたらす特異性 に注目して研究を遂行する。 本年度は昨年度に引き続き成層乱流のエネルギースペクトルとエネルギートランスファーについて名古屋大学情報基盤センターのスーパーコンピュータを使用して数値解析を進めた。特にエネルギートランスファーについては新たな結果が得られつつあり、次年度に計算を継続し、結果をまとめる。また、昨年度行った研究テーマである渦のリコネクションのモデルについて結果を論文として発表した。 更に研究を促進し、新たな知見を得るために以下のワークショップを開催した。 「流体方程式の構造と特異性に迫る数値解析・数値計算」2014年12月8日~9日 (URL: http://www.math.nagoya-u.ac.jp/ja/research/conference/2014/fluids.html) 「量子乱流の新展開: 量子渦の可視化とシミュレーションに関するワークショップ」2014年12月11日~12日、 (URL: http://www.math.nagoya-u.ac.jp/ja/research/conference/2014/quantum-turb.html)
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究課題推進にあたって中核となるのはスーパーコンピュータ使用による大規模数値シミュレーションの実施とそのデータ解析と数学モデルの構築、ならびに研究促進と新たな問題提起のための国際ワークショップの開催にあると言える。大規模数値解析の実施に関しては名古屋大学情報基盤センターのスーパーコンピュータ(FX10)を使用し、成層乱流についてエネルギースペクトルやエネルギートランスファーなどを中心とする統計量についての解析を行った。特にエネルギートランスファーについてはこれまでに明らかにされてきたエネルギースペクトルの特性を明確に説明する結果が得られつつあり、現在その検証を行っている段階である。また、昨年度Cambridge 大学のH.K.Moffatt教授と共同研究した渦のリコネクションモデルについてJournal of Fluid Mechanicsに発表できたことは評価できることであると考える。 更に、前述のように国際ワークショップとして「量子乱流の新展開: 量子渦の可視化とシミュレーションに関するワークショップ」を名古屋大学で開催し、理学、工学、応用数学の研究者と量子乱流という新たな分野の問題について議論を行ったことは研究の新たな進展を図る上で非常に重要な成果であった。また、ミニワークショップとして「流体方程式の構造と特異性に迫る数値解析・数値計算」を名古屋大学で開催し、特に数値解析を行っている応用数学者と活発な議論を行ったことは乱流の数値解析について研究と広がりをもたらし新たな手法の開発を促したことで大変有意義であったと考える。以上、全体としてほぼ目的を達成することができ計画は順調に進展していると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの成果を踏まえて、以下の活動をより充実させていく。(1)大規模数値解析の実施:名古屋大学情報基盤センターのスーパーコンピュータ(FX10, 並びに年度後半からFX100)を用いて成層乱流の数値解析を進めるとともに、その知見を踏まえて回転の影響について数値解析を開始する。成層乱流のエネルギートランスファーについては結果を論文としてまとめる。(2)Cambridge大学のH.K. Moffatt教授との共同研究である渦のリコネクションモデルを磁力線のリコネクションに応用する試みを発展させ、リコネクション時に働くローレンツ力の影響を考察する。特に磁力線のリコネクションにおける時間スケールの問題は太陽コロナの加熱において非常に重要なポイントであり、これに対するモデルをローレンツ力の効果を取り込む事によって説明することを試みる。(3)初年度に開催した国際ワークショップの第二弾「Fundamental Aspects of Geophysical Turbulence II 」を木村とPeter Sullivan (NCAR) がオーガナイザーとして8月5日~8月7日に米国コロラド州ボールダーの米国立大気研究所 (National Center for Atmospheric Research) で開催する。(http://www.math.nagoya-u.ac.jp/en/research/conference/2015/geophys-turbu-2.html)
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Research Products
(19 results)