2014 Fiscal Year Annual Research Report
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25247017
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
宮田 隆志 東京大学, 理学(系)研究科(研究院), 准教授 (90323500)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 天文学 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は研究計画の2年目にあたる。昨年度までに問題となっていた2視野同時観測システムの光学系上下駆動機構の不具合は解消され、スムーズな駆動が可能となった。また各駆動部の駆動精度試験も実施した。結果、システム全体での角度精度は0.04度以内を達成していることが確認できた。これは視野間の効率の差にして2%以下に相当しており、数%の精度での相対測光を実現するという本研究の目的をほぼ達成するものである。不要な迷光を避けるためのカバー機構も完成し、表面に露出した鏡の洗浄機構の組み込みも行った。一方で回転機構に付随するケーブル巻取りには不具合が発生しており、大きな角度回転を行った際にケーブルがねじれる現象が確認されている。これについてはケーブルベアメーカとも協力し、対応策を検討している最中である。 上のような開発と並行しながら、変光天体の観測的研究も進めている。昨年度実施した大質量星形成領域のモニタ観測についてはそのデータの詳細な解析を行い、近赤外線波長で有意な変光を検出している。変光原因については確定はしていないが、カラー変化の様子から、視線中のダスト量が変化したのではないかと推測される。また、miniTAO望遠鏡の観測データからは、木星の衛星IOの赤外線光度の時間変動を明らかにし、イオの火山活動についての知見を得ることに成功した。さらに長波長(>20μm)の変光現象がいくつかの天体で検出した。これについては複数のキャリブレーション手法によるクロスチェックなどでその確度を高めていきたい。 なお、これら研究で得られた成果は査読論文を含め国際研究会や学会などで発表を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
装置開発進展に伴う不具合がいくつか見られるものの、個々の問題は比較的短期間で解消されてきており、装置開発はおおむね順調に進展してきていると言える。観測的研究としては近赤外線波長でこれまで知られていなかった変光現象を検出したり、中間赤外線の特に長波長側で強い変光を見出したりと、将来の観測につながるような発見をいくつか成し遂げている。また木星のイオの火山活動など太陽系内天体の現象も、リモートセンシングで追跡できることが実証された。今後は追観測やクロスキャリブレーションなどでこれらを精査し確度をあげていきたい。
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Strategy for Future Research Activity |
まず現在明らかになっている不具合を修正し、2視野同時観測システムを完成することに全力を注ぐ。幸いユニットごとの精度は十分高く、正常かつ安定的な駆動ができるようにすれば目標精度を達成できる見込みである。完成後はできるだけ早く(遅くとも今年度内に)ハワイ観測所への輸送を実施する。これについては時期を含めてハワイ観測所と協議を進めている。これらと並行して変光天体の観測的研究も進めていき、すばる望遠鏡で行う観測天体の具体的なセレクションに入る計画である。
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