2014 Fiscal Year Annual Research Report
高精度近赤外3色同時トランジット観測によるスーパーアースの基本的性質の解明
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25247026
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Research Institution | National Astronomical Observatory of Japan |
Principal Investigator |
成田 憲保 国立天文台, 太陽系外惑星探査プロジェクト室, 特任助教 (60610532)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
泉浦 秀行 国立天文台, 岡山天体物理観測所, 准教授 (00211730)
生駒 大洋 東京大学, 理学(系)研究科(研究院), 准教授 (80397025)
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Project Period (FY) |
2013-05-31 – 2017-03-31
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Keywords | 太陽系外惑星 / トランジット / 観測装置開発 / 惑星大気 / スーパーアース / 透過光分光 / 多色撮像カメラ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、最近太陽系外で発見されつつある「スーパーアース」、すなわち太陽系における地球と天王星・海王星の中間の質量・半径を持つ惑星がどのような組成と構造を持っているのかを明らかにするため、惑星のトランジット(食)を同時に多色で観測し、惑星の見かけの半径の波長依存性を精密に測定することが可能な新しい観測装置MuSCATの開発を行ってきた。 平成26年度は、MuSCATの構成部品を入札等によって調達し、11月~12月にかけて組み立てを行った。そして完成したMuSCATを岡山天体物理観測所に移送し、12月24日に観測装置で初めて天体の光を観測するファーストライトの試験を行った。このファーストライト観測では、MuSCATが良好な結像性能を持ち、期待した仕様を満たしていることが確認された。 また、平成27年3月2日~4日にはより詳細な試験観測を実施し、(1)3台のCCDカメラにより3色の同時観測ができること、(2)取得した画像から検出器上での天体の像の位置を即座に求め、それが前の画像からずれている場合には望遠鏡にフィードバックをかける自己オートガイド機能が期待通り動作すること、(3)これによって10等程度の明るさの恒星の光度変化を0.1%の精度で3色同時に測定できる性能を有していること、などが確認された。これによってMuSCATが期待した性能を満たし、平成27年度から共同利用観測で利用することが可能であることを実証した。 また観測的研究の面からは、既知のトランジット惑星に対して既存の望遠鏡・観測装置での観測を実施し、特にウォームジュピターWASP-80bの観測結果を論文として発表した。 さらに理論的研究の面からは、さまざまな大気組成と空模様(晴れ、曇り、もや等)の惑星で、トランジットの深さの波長依存性がどのようになるかを理論的に計算することが可能となった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本研究では岡山天体物理観測所の188cm望遠鏡に搭載する観測装置MuSCATを開発してきたが、当初平成27年度に予定していた装置の完成と試験観測が平成26年度中に完了した。さらに試験観測での装置の性能評価も期待通りの良好な結果となったので、当初平成28年1月から予定していた装置の共同利用観測での利用も平成27年7月から前倒しで可能となった。また、研究実績の概要の通り観測的研究と理論的研究も順調に進展している。以上のことを総合し、本研究は当初の計画以上に進展していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究の最大の目的であった岡山天体物理観測所188cm望遠鏡の新しい観測装置MuSCATの開発が無事に完了したため、今後はMuSCATを使った観測とその結果の理論解釈に関する研究へと重点をシフトしていく。具体的には、2015年7月からの共同利用観測の観測時間を獲得し、その観測による成果の創出を目指す。 また、それと並行してMuSCATの世界的な認知度を高めるため、観測装置をトピックとして扱う学術雑誌にMuSCATの開発について論文を投稿するほか、国際会議などでも発表する。 このほか、MuSCATの機能向上やこの装置を用いた新しいサイエンスなどを平成27年度に検討し、次の科研費の応募へとつなげていく。
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Research Products
(22 results)
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[Journal Article] Multi-band, Multi-epoch Observations of the Transiting Warm Jupiter WASP-80b2014
Author(s)
Akihiko Fukui, Yui Kawashima, Masahiro Ikoma, Norio Narita, Masahiro Onitsuka, Yoshifusa Ita, Hiroki Onozato, Shogo Nishiyama, Haruka Baba, Tsuguru Ryu, Teruyuki Hirano, Yasunori Hori, Kenji Kurosaki, Kiyoe Kawauchi, Yasuhiro H. Takahashi, Takahiro Nagayama, Motohide Tamura, Nobuyuki Kawai, et al.
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Journal Title
Astrophysical Journal
Volume: 790
Pages: 108
DOI
Peer Reviewed / Acknowledgement Compliant
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