2014 Fiscal Year Annual Research Report
極高エネルギー宇宙線用地表検出器の評価と多機能化に関する研究
Project/Area Number |
25247035
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
佐川 宏行 東京大学, 宇宙線研究所, 准教授 (80178590)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
荻尾 彰一 大阪市立大学, 理学(系)研究科(研究院), 准教授 (20242258)
野中 敏幸 東京大学, 宇宙線研究所, 助教 (30506754)
|
Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2018-03-31
|
Keywords | 宇宙線 / 空気シャワー / ミューオン / 国際研究者交流 / 米国ユタ州 / テレスコープアレイ |
Outline of Annual Research Achievements |
米国における最高エネルギー宇宙線観測実験テレスコープアレイ(TA)では、電磁成分に感度のあるシンチレータ地表検出器と大気蛍光望遠鏡で測定した宇宙線のエネルギーに27%の食い違いがある。原因の一つとして、アルゼンチンの最高エネルギー宇宙線観測実験Augerグループが報告した、空気シャワー中のミューオン数過剰が考えられる。本研究では、ミューオンに感度のあるAugerの水タンク検出器をTAサイトに移設し、かつシンチレータミューオン検出器を新設し、Augerが報告したミューオン過剰を検証する。これらのミューオン検出器とTA地表検出器の測定を比較して将来の測定器の提案を目指す。 1)TAサイトに設置したAuger地表検出器を用いて宇宙線のデータを取得している。検出器の較正に用いる、二次宇宙線中のミューオン信号に関して、実際のデータとモンテカルロシミュレーションとの比較を行ない、よい一致を見た。さらに、TA地表検出器で得られた空気シャワーのトリガーと同期したAuger検出器の波形データも取得した。 2)TA地表検出器でトリガーして取得した空気シャワーと同期した鉛シンチレータ検出器による波形を取得した。電磁成分の発達が鉛層を挟んだ上下のプラスチックシンチレータで検出された信号の違いとなって見えている。TA地表検出器でトリガーされた空気シャワー事象に対して、鉛シンチレータ検出器で測定した粒子密度の宇宙線到来軸からの距離依存性(横方向分布)も得られた。 3)コンクリートシールドによる吸収層をTAサイトに組み立てた。シンチレータ検出器を調整中である。 以上に関しては、日本物理学会あるいはユタで開かれた超高エネルギー宇宙線国際会議(UHECR2014)で発表がなされた。このように、ミューオン測定器のデータも取得され始め、今後のミューオン数測定などの解析および測定器の応答の比較の足がかりができた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
米国土地管理局の許可が遅れて、平成25年度予定のTAサイトへの検出器の設置が平成26年度に遅れた。ただし、 1)平成25年度の繰越で、テレスコープ(TA)サイトにPierre Auger Observatory(PAO)の水チェレンコフ地表検出器を設置し、稼働させた。現在、水タンク検出器によって、空気シャワーからの宇宙線のデータを取得している。検出器の較正に用いる、二次宇宙線中のミューオン信号に関して、実際のデータとモンテカルロシミュレーションとの予備的な比較を行い、よい一致を見ている。さらに、TAの地表検出器アレイで得られた空気シャワーのトリガーと同期した水タンクの波形データも取得した。 2)TAの地表検出器でトリガーした空気シャワーと同期した鉛シンチレータ検出器による波形を取得している。電磁成分の発達が鉛層を挟んだ上下のプラスチックシンチレータで検出された信号の違いとなって見えている。 3)平成25年度の繰り越しで、コンクリートシールドによる吸収層を組み立てた。シンチレータ検出器を調整中である。 以上に関しては、日本物理学会あるいは超高エネルギー宇宙線国際会議UHECR2014おいて発表がなされた。測定データを取得し始めて、今後の解析に足がかりができている。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後、設置されたミューオン検出器のデータ収集を継続し、統計量を増やす。空気シャワーシミュレーションと検出器シミュレーションをさらに精度よく構築してデータとモンテカルロシミュレーションの比較を行い、測定器の応答の確認する。TAの地表検出器アレイで得られた空気シャワーのトリガーと同期したミューオン検出器のデータを解析して、ミューオン数の測定を行う。Auger水チェレンコフ検出器に関しては、まずAugerがこれまで用いてきたミューオン数抽出手法を用いた解析を始めている。平成27年度に開かれる宇宙線国際学会において、本研究の現状およびこれまで得られた結果に関して、二件発表がなされる予定である。
|
Research Products
(3 results)
-
-
[Presentation] TA-muon2014
Author(s)
T. Nonaka for Telescope Array Collaboration
Organizer
UHECR2014
Place of Presentation
Canyon Community Center, Springdale, UT, USA
Year and Date
2014-10-14
-