2015 Fiscal Year Annual Research Report
135億光年彼方からのガンマ線バーストを捉えるX線撮像検出器の開発
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25247038
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
米徳 大輔 金沢大学, 数物科学系, 教授 (40345608)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | ガンマ線バースト / 人工衛星 / 初期宇宙 / X線 / 検出器開発 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、FPGA基板およびCPU基板を開発し、プロトタイプモデルのハードウェアが完成した。ここで使用している回路部品は、フライトモデルを想定した選定を行っている。FPGA, SRAM等の高集積度の部品は放射線耐性の高い宇宙用を使用するが、プロトタイプには同等の性能でピン互換性のある民生品を利用した。これにより、迅速なフライトモデルの開発へと移行できるようになっている。また、CPUはFPGAの中に8051コアを焼き込んだものとなっている。 フライトモデルにおいても、いくつかの民生用部品を使用することになるため、そのような回路部品に対しては放射線耐性を綿密に調べることが必要である。若狭湾エネルギー研究センターにて、2度の粒子線ビーム照射試験を行い、ADCおよび電圧レベル変換器については極めて高い放射線耐性があることを確認した。一方で、アンプ類に対しては、数年の宇宙利用は可能ではあるものの、性能の変化が確認されたものもあることから、さらなる調査が必要であると考えている。 開発したFPGA回路により、8個の集積回路を同時に駆動することに成功し、簡易的なデータのヒストグラム化などの機能を実装している。またCPU回路基板を経由したコマンド・データ送受信を確立することに成功した。以上により、プロトタイプモデルの基本的な動作を検証できたと認識している。今後はソフトウェアやFPGAロジックの先鋭化を行い、フライトモデルの開発へ移行したいと考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本来は次年度までにCPU回路を開発する予定であったが、優秀な博士研究員を雇用できたことと、CPUとFPGAの回路を同時に開発することができたために、当初の予定よりも早くプロトタイプモデルのハードウェアを完成させることができた。それに伴い、FPGAロジックの検証だけではなく、CPUを経由した外部とのインターフェースを実証することができ、ソフトウェアのレベルでも当初の計画を上回る成果が得られている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後はFPGAロジックおよびCPUソフトウェアの高機能化・先鋭化を行うことで、衛星搭載レベルの観測装置を完成させることが目標である。FPGAでは「カウントレート」「スペクトル」「撮像」の3つのヒストグラムを作成し、高速のイメージプロセッサによる方向決定機能を実装することが目標となる。すでに小規模なイメージプロセッサの基礎開発・機能実証は行えているため、今後はフライトモデルの規模に対応できるように拡張することを目標としている。 CPUでは、コマンド・データ送受信の他に、バーストトリガー判定や検出器状態の把握など、いくつかのタスクを追加する必要がある。
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Research Products
(10 results)