2014 Fiscal Year Annual Research Report
素粒子の新しい相互作用の探求をめざした大強度パルスミューオンビームの開発
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25247043
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Research Institution | High Energy Accelerator Research Organization |
Principal Investigator |
三原 智 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 素粒子原子核研究所, 教授 (80292837)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西口 創 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 素粒子原子核研究所, 助教 (10534810)
上野 一樹 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 素粒子原子核研究所, 助教 (20587464)
五十嵐 洋一 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 素粒子原子核研究所, 研究機関講師 (50311121)
吉田 誠 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 素粒子原子核研究所, 助教 (70379303)
深尾 祥紀 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 素粒子原子核研究所, 助教 (80443018)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 素粒子実験 / 量子ビーム |
Outline of Annual Research Achievements |
平成26年度には、前年度に製作試験が終了した飛跡検出用ストローの量産を開始し、カロリメータについては結晶の選定を終了させ、結晶の生産開始と大型プロトタイプの製作準備を実施した。 飛跡検出器に関しては、前年度にはその時点で使用可能であった36ミクロン厚のストローを使用して飛跡検出器プロトタイプを完成させたが、平成26年度になって共同で研究を進めるJINR研究所にて20ミクロン厚のストローの製作が完了し大量生産出来る体制が整ったことを契機に、20ミクロン厚ストローを使用した飛跡検出器製作を開始した。カロリメータに関しては前年度の最後に行った電子ビームテスト解析結果に基づいて、LYSO結晶を採用することを決定し製造メーカーと製作予定を議論した後、結晶の大量生産を開始した。 これと並行して、飛跡検出器、カロリメータ検出器のデータを読み出すための波形計測装置を開発し、基礎的試験を実施した。波形計測にはアナログメモリー技術を採用したチップを採用することにより高速サンプリングを実現しながらも、コストを安く抑えることに成功した。 整備を予定していた超電導電磁石システムに関しては、超電導コイルのサポートを補強する必要が有ることが研究遂行中に判明したため、これらを優先して実施した。予定していた冷却装置の準備に関しては研究所内で再利用できる機器を使用することで対応することとした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の目的は大きく3つからなる。①真空中で動作可能な飛跡検出器の開発、②粒子同定のための位置分解能をそなえたカロリメータの開発、③これらを用いたビーム診断。①、②に関しては平成26年度までの研究が順調に推移しており、すでに検出器の一部も完成している。平成27年度にはこれらを完成させ、宇宙線による試験を実施する。③のビーム診断に関しても、検出器の準備という観点からは順調に準備が進んでいる。COMET実験のための実験ホールも平成26年度末に完成し、ビーム受入のための準備が進められている。研究最終年度である平成28年度にCOMET実験のための実験ホールにビームが供給できるようになれば、直ちにビーム診断を実施することを予定している。
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Strategy for Future Research Activity |
基本的には、現在製作中の検出器を完成させ、それらを組み上げて最終試験であるビーム診断を平成28年度に実施する。このための準備は全て整っており、飛跡検出器用ストローの大量生産、カロリメータのためのLYSO結晶の大量生産を平成27年度に実施し、これらを組み上げることで検出器として組み上げることを平成27年度中に行う。 現在までの研究と同様、ストローの大量生産は共同研究をすすめるJINRで実施する。これを日本に輸送し高エネルギー加速器研究機構内にて飛跡検出器の製作を進める。飛跡検出器の製作にあたってはストローチューブにかけるテンション、ワイヤーにかけるテンションを注意深く調整しながら行い、製作終了後はJINR研究者によって開発された装置により張力測定を実施する。カロリメータに関しては共同研究をすすめるBINP研究所ならびにJINR研究所の協力を得て、LYSO結晶の大量生産とその品質検査を実施する。検査が終了した後には日本に輸送し、光センサーの取り付け最終試験を実施し検出器として組み上げる。光センサーの読み出しには新規に開発された専用のエレクトロニクスを使用する。データ収集を行う際のトリガー信号はBINP研究所で開発されている専用のエレクトロニクスを採用することにより行う。検出器製作が終了した後は、これらをCOMET実験エリアに輸送し、ビーム診断試験を実施する。
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