2014 Fiscal Year Annual Research Report
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25247052
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
金光 義彦 京都大学, 化学研究所, 教授 (30185954)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 光物性 / ナノ材料 / 量子ドット / エキシトン / ナノ粒子 / カーボンナノチューブ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、ヘテロ構造ナノ粒子、カーボンナノチューブ、ナノリングなど幾何学的構造に特色があるナノ構造半導体の光物性およびマルチエキシトン状態の研究に取り組んだ。本年度は、時間相関単一光子計数法をベースとした単一ナノ粒子測定システムおよび広帯域の白色光源をベースとした励起分光システムを活用し、単一半導体ナノ構造におけるマルチエキシトンのダイナミクス解明を目指した。粒子の発光や光吸収を定量的に評価できる測定システムや、透明電極や金属針電極を導入することによって粒子に電界を印加できるシステム、低温におけるナノ粒子の発光を高感度に計測できるシステムの設計と開発に着手した。サイズの異なる複数の種類のコアシェル型ナノ粒子を対象として、単一ナノ粒子の発光スペクトルと発光寿命の同時測定を行った。この実験により、エキシトンのスペクトル拡散現象が、量子閉じ込めシュタルク効果による輻射寿命の増大を伴って生じることを明らかにすることができた。また、スペクトル拡散現象を示すエキシトンと荷電エキシトンの信号を様々な励起強度において測定し、電界揺らぎを考慮した定量的な解析を行った。これにより、粒子内外で電荷の位置が変化するメカニズムが明らかになった。単一粒子からの発光をエキシトン、荷電エキシトン、バイエキシトンによるものに分類する手法を活用し、さらにそれらの発光量子効率と発光寿命を定量的に調べる手法を見出した。これにより、それぞれの状態の再結合ダイナミクスの全貌が明らかになった。マルチエキシトン状態におけるスケーリング則の妥当性や、電子正孔間のクーロン相互作用が遮蔽される効果の影響を明らかにすることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
時間相関単一光子計数法を基本とした高感度測定システムを活用し、ナノ粒子、カーボンナノチューブなどの特色ある半導体ナノ構造におけるエキシトン、マルチエキシトンの関与した発光およびそれらの周辺環境の効果を明らかにすることができた。また、学会発表や論文での成果発表も順調に行うことができた。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでに構築してきた分光測定システムの改良、電界印加デバイスへの拡張、低温分光への拡張を行い、様々な状況下での測定を行う。特色あるナノ粒子の作製にも挑戦し、マルチエキシトンの解明に挑戦する。
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Research Products
(33 results)