2014 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
25247058
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
小野瀬 佳文 東京大学, 総合文化研究科, 准教授 (80436526)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
貴田 徳明 東京大学, 新領域創成科学研究科, 准教授 (30587069)
|
Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
|
Keywords | 強相関電子系 / スピントロニクス / マグノン / マイクロ波 / テラヘルツ波 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、磁性体の磁気励起の相対論効果によって現れる現象をマイクロ波やテラヘルツ光によって研究するものである。 平成26年度、小野瀬は空間反転対称性が破れた強磁性体LiFe5O8におけるマイクロ波応答を研究した。フォトリソグラフィーによって高波数のマグノンを励起できる蛇行型アンテナを作製し、これにより空間反転対称性が破れた結晶によって期待されるジャロシンスキー守谷相互作用の影響を調べた。その結果、期待通り高波数モードのみに大きな非相反性が現れており、磁場の方向依存性もジャロシンスキー守谷相互作用から期待されるものと一致していた。空間反転対称性がある強磁性体イットリウム鉄ガーネットでは同様な実験をしても非相反性は現れないことから、この非相反性は、空間反転対称性が破れた結晶に由来するジャロシンスキー守谷相互作用によるものと結論した。今後、再現性の確認や補足実験を行い、近いうちに論文として纏める予定である。 貴田は、フェムト秒レーザー照射による対称性の破れた強誘電体や強磁性体からのテラヘルツ電磁波放射現象の観測を行い、以下の成果を得た。①磁性強誘電体Co3B7O13Iからのテラヘルツ電磁波発生を見出し、放射したテラヘルツ電磁波波形を解析することで、90度強誘電ドメインの可視化に成功した。②フェリ磁性体であるLiFe5O8にフェムト秒レーザーを照射することにより、サブピコ秒で磁化が変調された結果、テラヘルツ電磁波が発生することを見出した。さらに放射したテラヘルツ電磁波の位相を利用すると、磁気ドメインが簡便に可視化できる新たな磁気イメージング手法を開発した。③圧電体 TeO2から室温において狭帯域テラヘルツ電磁波が発生することを見出した。④光学活性を示す圧電体 Bi12GeO20から室温においてテラヘルツ電磁波が発生することを見出した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
予定していたジャロシンスキー守谷相互作用由来のマイクロ波非相反性や磁性体におけるテラヘルツ放射などで研究成果を挙げることができた。圧電体からのテラヘルツ放射など関連した成果も挙がっている。
|
Strategy for Future Research Activity |
小野瀬が進めているマイクロ波測定に関しては、今年度得られたLiFe5O8の結果を早急に論文として纏め、その結果を基に詳細な波数依存性や他の物質での非相反性の観測を進める。また、既存のマイクロ波測定装置を改造し、直流電場下でのマイクロ波測定を可能とする測定系を整備して、マイクロ波非相反応答の電場制御を試みる。 貴田が進めているテラヘルツ測定については、強誘電体ならびに強磁性体からのテラヘルツ電磁波放射現象やこれを利用した新たなドメインイメージングの研究を引き続き推進し、技術の汎用性を高めることを狙う。さらには、テラヘルツ電場で強励起による物性制御も目指す。
|
Research Products
(12 results)