2013 Fiscal Year Annual Research Report
フォトニックバンドギャップ及びマルチコアによるファイバー高エネルギーパルス光源
Project/Area Number |
25247067
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (A)
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Research Institution | The University of Electro-Communications |
Principal Investigator |
白川 晃 電気通信大学, レーザー新世代研究センター, 准教授 (00313429)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
齋藤 和也 豊田工業大学, 工学部, 教授 (20278394)
齊藤 晋聖 北海道大学, 情報科学研究科, 教授 (20333627)
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Project Period (FY) |
2013-05-31 – 2016-03-31
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Keywords | ファイバーレーザー / パルスレーザー / フォトニックバンドギャップファイバー / マルチコアファイバー / 位相同期レーザーアレイ |
Research Abstract |
1.フォトニックバンドギャップファイバー(PBGF)による誘導ラマン散乱(SRS)抑制パルス増幅の研究を推進した。任意波形発生器と強度変調器を用いてパルス幅2nsの矩形パルスを100-500kHzの繰り返し周波数で発生できるシード源を新たに開発した。Yb添加PBGFでピークパワー35kWまで増幅することに成功し,通常ファイバーと比べ8.6dBのSRS抑制を実証した。 2.位相変調器でプローブ光周波数を掃引してファイバーのブリルアン利得スペクトルを取得するポンプ・プローブ装置を作製した。パッシブPBGFや通常ファイバーのブリルアン利得スペクトルを高精度に取得できるようになった。また音響モードをベクトル有限要素法で計算し,電界モードとの重なりからブリルアン利得スペクトルを計算するコードを開発中である。 3.半導体ディスクレーザーをシード源とした単一周波数1178nmYb添加PBGF増幅器を開発した。誘導ブリルアン散乱を引き起こすことなくパワー31W,線幅149kHzの狭線幅出力を得ることに成功した。また1178nm用大モード面積Yb添加PBGFを開発し,エネルギー引き出し特性の評価実験を行った。問題点を見いだし次回作製に反映することとした。 4.Yb添加7コアフォトニック結晶ファイバーの特性評価,レーザー発振実験を行った。エンドシール自己イメージング法による位相同期レーザー動作に成功した。引き続き6コアの場合との比較実験を推進する。 5.可飽和吸収体を用いた新しい位相同期法を世界で初めて実証した。Yb添加6コアフォトニック結晶ファイバーの遠視野に可飽和吸収体としてCr:YAGを配置し,受動Qスイッチと位相同期の両方を同時に得ることに成功した。過剰吸収飽和や熱レンズにより同位相モード選択性が低下することを見いだし,克服する方法を検討中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
予定以上に進展: PBGFによるSRS抑制パルス増幅では,新しいシード源を順調に開発し,通常ファイバーと比較し8.6dBのSRS抑制を達成し,既に理論限界に到達していると考えられる。今後通常ファイバーとの比較検証を精密に行う。可飽和吸収体を用いた新しい位相同期法の実証にも成功でき,同位相モード選択性の限界についても同定できた。これらについては早急に論文化を進める。 予定どおり: ブリルアン利得スペクトル測定装置を予定通り作製し,さまざまなファイバーの評価が可能になった。また1178nm用大モード面積Yb添加PBGFの最初のプロットの開発・評価を終了し,次回作製にむけた有益な知見を得ることができている。 やや遅れている: ブリルアン利得スペクトル計算コード開発の開始が遅れてしまったためまだ完成していないが,H26年度前半には完成し,測定スペクトルとの比較,新しいファイバーの設計へと活用できる予定である。Yb添加7コアフォトニック結晶ファイバーの位相同期には成功しているが,6コアの場合との比較がこれからである。 以上から,「おおむね順調に進展している」と評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
1064nm帯SRS抑制Yb添加PBGF増幅器について,誘導自然放出(ASE)抑制により更なる高尖塔出力化に取り組むとともに,損失スペクトル,ASE,ラマン散乱を取り入れた非線形結合方程式の計算コードを開発し,SRS臨界パワーを数値的に評価できるようにする。 PBGFのブリルアン利得スペクトルを計算し,実測スペクトルと比較する。ブリルアン利得を音響フォノンアンチガイドにより有効に抑制するための構造の設計検討を開始する。 1178nm用PBGF大モード面積Yb添加PBGFの第2プロット開発とともに,雑音駆動位相変調によるSBS抑制も並行して行い,SBS限界を向上し,従来PBGF,新しい大モード面積PBGFいずれかで単一周波数増幅限界を100W超まで向上する。その第二高調波発生によりレーザーガイドスター光源の実証を目指す。 エンドシールおよび可飽和吸収体の両方法で,6コアと7コアのYb添加マルチコアPCFの位相同期特性の比較を行う。その結果に基づき,最適なマルチコア構造を決定し,位相同期のコア数,コア径スケーリングを検討する。18ないし19コアのファイバーの作製を目指す。また自己収束限界のモード依存性,コア数依存性を理論的に明らかにする。 フェムト秒パルスのビーム結合の研究を開始する。分割パルス増幅器を開発し,パルス内の動的な非線形位相雑音を精密測定し物理モデルを構築する。
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