2014 Fiscal Year Annual Research Report
拡張アンサンブル法による蛋白質への小分子結合機構の研究
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25247071
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
岡本 祐幸 名古屋大学, 理学(系)研究科(研究院), 教授 (70185487)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 生体系 / 蛋白質 / 分子シミュレーション / 拡張アンサンブル法 / 自由エネルギー計算 |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度、独自の開発に成功した拡張アンサンブルドッキングシミュレーション手法(すなわち、レプリカ交換傘サンプル法(Replica-Exchange Umbrella Sampling: REUS)とレプリカ溶質焼き戻し法(Replica- Exchange Solute Tempering: RESTを合体させた2次元レプリカ交換法:REUS/REST)を計算例として、oncoprotein MDM2とリガンドCompound 29の系に適用した。そして、自由エネルギー最小状態として得られたリガンドとタンパク質とのドッキング構造が、X線回折実験の結果とよく一致することを示した。我々は更に、このドッキング構造を元にして、ダブル・ディカプリング法によって、結合自由エネルギーを計算し、これまた、実験結果との良い一致をみた。すなわち、2次元レプリカ交換法とダブル・ディカプリング法による、新しい結合自由エネルギー計算法を新たに提案したことになる。これまで、まず、前半のドッキング構造を決めるのが大変困難であったが、特に、従来の手法では、リガンドが一度タンパク質のポケットに入ってしまうと、そこで固定されてしまうという困難があったが、我々の手法では、リガンドがタンパク質のポケットに入ってドッキングするとともに、また、そのポケットから出てくることを可能にしており、大変精度の高い計算が可能になった。それによって、ドッキング構造の予測能力が大いに上がった。また、ドッキング構造が分かれば、次のステップのドッキング自由エネルギー計算がダブル・ディカプリング法の適用が可能になった訳であり、約1キロカロリー/モルぐらいの高い精度でドッキングの自由エネルギー計算が可能になった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2次元レプリカ交換法でリガンドのタンパク質へのドッキング構造を予測し、そこから2つの手法(ダブル・ディカプリング法と平均力ポテンシャルに基づく手法)でドッキングの自由エネギー計算手法を開発するのが当初の目標であったが、後半の2手法のうち、1つ目の手法で完全な成功を収めた。2つ目の手法による計算は現在進行中である。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度開発に成功したリガンドのドッキング自由エネルギー計算法の後半に2つの可能性を模索していたが、1つ目のダブル・ディカプリング法による方法だけが成功した。今後、2つ目の平均力ポテンシャルによる手法の有効性を調べ、2手法を比較する。一つでも有効な手法が得られれば、本研究の目標は達成されたことになるので、既に、有効な手法が得られた現在、最低限の目標達成は既にできていると言える。
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Research Products
(24 results)