2016 Fiscal Year Annual Research Report
Study on the mechanism of docking of small molecules to proteins by generalized-ensemble algorithms
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25247071
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
岡本 祐幸 名古屋大学, 理学研究科, 教授 (70185487)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 生体系 / 蛋白質 / 分子シミュレーション / 拡張アンサンブル法 / 自由エネルギー計算 / 量子効果 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究において、レプリカ交換傘サンプル法と呼ばれる拡張アンサンブル法に基づく、小分子のドッキング手法を開発し、その有効性を確かめてきたが、これまでは、古典力学に基づいた計算を行ってきた。しかし、小分子がターゲット蛋白質と合体する部分は、量子力学に基づく計算が必要になる場合があるわけで、レプリカ交換傘サンプル法と量子力学計算を合体させる必要があった。本年、量子力学と拡張アンサンブル法の合体に挑戦し、DFTBと呼ばれる量子力学計算量子力学計算に2つの拡張アンサンブル法(レプリカ交換分子動力学法とレプリカ交換傘サンプル法)を組み込むことに成功した。そして、マロンアルデヒドのプロトン移動に関する自由エネルギー障壁を計算した。そして、その結果はAMBERやCHARMMのプログラムによる結果と比較し、良い一致が得られていることを確認した。また、アラニン10個のホモオリゴマーの折り畳みシミュレーションを実行して、αヘリックスができるかどうかを調べたが、量子力学計算の精度が低い場合は、3-10ヘリックスが形成され、量子力学計算の精度を上げるとαヘリックス構造が形成されることが確認できた。既に、量子力学計算とレプリカ交換傘サンプル法を合体させた手法によって、4つのフタロニトリルから1つのフタロシアニンの生成する拡張アンサンブルシミュレーションに成功しており、蛋白質への小分子の結合に関する精度の高い計算を行う準備が完成した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまで開発してきた拡張アンサンブル法は、主に古典力学に基づいたシミュレーションに適用してきたが、今回、量子力学に基づいたシミュレーションにも、拡張アンサンブル法を適用できるようになったことは、より精度の高い計算を可能にした訳であり、おおむね順調に進展していると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
手法はほぼ完成したので、本研究で開発した手法を、後生的発現(エピジェネティクス)に関する、ヒストン脱アセチル化酵素やヒストン脱メチル化酵素への阻害剤候補分子の結合シミュレーションを実行し、精度の高い自由エネルギー計算を実行して、実験結果を比較する。
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Research Products
(9 results)