2014 Fiscal Year Annual Research Report
海底圧力計アレー観測による海洋/固体地球システム現象の解明
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25247074
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Research Institution | Japan Agency for Marine-Earth Science and Technology |
Principal Investigator |
深尾 良夫 独立行政法人海洋研究開発機構, 地震津波海域観測研究センター, 特任上席研究員 (10022708)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西田 究 東京大学, 地震研究所, 准教授 (10345176)
日比谷 紀之 東京大学, 理学(系)研究科(研究院), 教授 (80192714)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 海底圧力観測 / 海洋内部潮汐 / 海洋長周期重力波 / プレート境界滑り |
Outline of Annual Research Achievements |
1.海底水圧計アレーの設置:平成26年5月12日から15日まで、海洋研究開発機構の深海潜水調査船支援母船「よこすか」にて、水圧計10台を青ヶ島東方沖海底(深さ1470-2258mの範囲)に正三角形状に設置した。各点を音響通信により測位し、XCTDを用いて水温、塩分濃度を深さ2000mまでの範囲で測定した。アレーの中心には広帯域海底地震計も設置した。 2.海洋長周期重力波の励起源位置の探索:本計画の準備研究として、海洋研究開発機構の熊野灘沖海底ネットワークの水圧計アレーを用いて海洋長周期重力波を検出し、スラントスタック法を用いてそのアレーへの到来方向と伝播速度を測定した。到来方向に関しては、フィリピン海から南海トラフをほぼ直交して入射してくる波が圧倒的に卓越する。大陸棚からの反射は目立たない。強度には季節変化があり、夏に弱く冬に強い。 3.海洋内部潮汐波の検出:本計画の準備研究として、海洋研究開発機構の熊野灘沖海底ネットワークの水圧計アレーを用いて、スラントスタック法により海洋内部潮汐波のアレーへの到来方向、伝播速度及び信号強度を測定する研究を開始した。 4.流速計併用による海底擾乱の検出:平成25年5月から宮城県はるか沖海底でパロサイエンティフィック社の新型加速度計のテスト観測を行い、併せて改良前の超深海用流速計のパフォーマンスをテストした。システム全体は平成26年3月に回収され、観測期間10か月中に加速度計記録から42個の傾斜イベントが検出された。流速計は改良前のため観測開始後わずか2週間しか稼働していないが、傾斜イベントに伴って海水が2cm/s程度の流速で動き、0.02度程度温度低下するという驚くべき結果が得られた。 5.平成27年度船舶利用の申請:平成27年5月に青ヶ島東方沖海底から水圧計アレーを撤収し、データを回収して鳥島はるか沖海底に再設置するための船舶利用申請を海洋研究開発機構に提出し採択された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1.海底水圧計アレーの設置:全て計画通り順調に設置作業を終えた。 2.海洋長周期重力波の励起源位置の探索:前年度からの解析が無事終了し、結果をまとめて論文として発表した。また結果は、本計画による海底圧力観測が、海洋長周期重力波の励起源の精確な位置決めにとって極めて重要であることを示した。この点は当初以上の進展と言える。 3.海洋内部潮汐波の検出:海洋物理学的な知見(例えばJCOPE-Japan Coastal Ocean Predictability Exxperiment モデル)によれば、熊野灘における海洋内部潮汐波の励起は弱いとされ、DONETによる検出限界以下であることが心配されたが、そうした心配が杞憂であることが示された。未だ解析を始めたばかりであるが、この点は当初目論見以上の進展と言える。 4.流速計併用による海底擾乱の研究:宮城県沖海底での新型加速度計による観測で2011年東北沖地震以降、震源域の海底が今も活発に傾斜イベントを繰り返していることが示され、試験的な海底流速観測によりこれら傾斜イベントに海底下の水の流出が深く関わっていることが明らかになった。流速計の改良作業は当初計画よりも若干遅れたが、この発見は、作業を若干遅らせても長期観測への改良が必須であることを示した。 5.平成27年度船舶利用の申請:時期、期間ともほぼこちらの希望通りに認められ順調な進展と言える。
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Strategy for Future Research Activity |
1.海底水圧計アレーの撤収と再設置:平成27年5月21日から6月2日にかけて青ヶ島東方沖海底からの全測器の撤収、記録の回収、鳥島はるか東方沖海底への全測器の再設置を行う。 2.回収した記録の解析:得られた記録を処理編集し主として以下の解析を行う。・海洋長周期重力波の励起源探索:DONETアレーと青ヶ島東方沖アレーのデータにスラントスタック法とビーム法とを適用し、海洋長周期重力波励起源の位置決めを行う。・海洋内部潮汐波の検出:DONETデータに適用しつある方法と同じ手法で青ヶ島東方沖アレーのデータを解析し、海洋内部潮汐波の検出を試みる。 3.2015年5月2日鳥島地震(M 5.7)の解析:この地震はいわゆる津波地震で、マグニチュードの割に異常に大きな津波(八丈島で50cm)を伴った。この地震の地震波と津波とを同時解析する。その他、記録から異常な海底地殻現象を検出することを試みる。 4.改良流速計による海底擾乱観測:本科研費でできあがった長期観測用流速計を前回試験観測を行った宮城県沖海底の同じ場所に他の新型測器と併せて設置する。この作業を平成27年9月に実施する。 5.平成28年度船舶利用の申請:鳥島はるか沖海底から全測器を最終的に回収するための船舶利用申請書を作成し、海洋研究開発機構に提出する。
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Research Products
(4 results)