2014 Fiscal Year Annual Research Report
特異な太陽ダイナモ活動に伴う太陽圏全体構造の変動の解明
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25247079
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
徳丸 宗利 名古屋大学, 太陽地球環境研究所, 教授 (60273207)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 太陽風 / 惑星間空間シンチレーション / 太陽圏 / 宇宙天気 / 太陽ダイナモ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題では、近代的な宇宙観測が始まって以来最も低い太陽活動サイクル24において太陽風がどの様なグローバルな分布をしているかを、名大STE研の惑星間空間シンチレーション(IPS)観測から正確に決定し、特異な太陽ダイナモ活動に対する太陽圏の応答を明らかにしようとしている。前年度はIPS観測の精度を向上させるため新型の低雑音増幅器や位相・利得校正システム、受信機温度測定システムを開発し、富士・木曽の電波望遠鏡への組み込みを行った。但し、木曽の電波望遠鏡への組み込み作業は当該年度に繰り越して実施している。また、平成26年2月の豪雪により富士・木曽の電波望遠鏡は甚大な被害を受けたため、当該年度4~7月にその復旧および調整作業を行っている。同電波望遠鏡が運転可能になった8月からは豊川の電波望遠鏡を含めた3地点同時IPS観測を実施し、太陽風データを取得した。この観測は、積雪のため11月末で終了した。当該年度の観測からは、富士・木曽の電波望遠鏡の感度が大幅に改善し、良好な太陽風データが効率よく取得可能になったことが確かめられた。また、取得した太陽風データからは太陽風が顕著な南北非対称性をもつ分布をしていることが示された。過去にさかのぼって太陽風の南北非対称性を解析した結果、極大期に南北非対称性が発達することや、現サイクルにおける顕著な南北非対称性は従来と異なる点があること等が判った。太陽風データを太陽磁場データと比較したところ、磁場4重極子成分が双極子成分に対して大きくなると南北非対称性が顕著になる傾向があることをつきとめた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成26年2月の豪雪によって富士・木曽の電波望遠鏡に大きな被害があったが、研究所の経費で復旧工事が行われ、8月からは順調にデータを取得することができた。秋にも台風や落雷による被害があったが、これらも速やかに復旧している。得られたデータからは太陽風の分布が過去とは異なる発展の仕方をしていることが示された。また、太陽風の南北非対称性に関する研究成果を論文にまとめ出版することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
平成27年度早期に豊川・富士・木曽での3地点同時IPS観測を開始し、年末まで連続的に太陽風データを取得する。得られたデータからはサイクル24における太陽風分布について解析を行い、その結果を逐次論文にまとめる。また、大量のデータを効率よく解析するため、ファイルサーバを整備する。
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