2015 Fiscal Year Annual Research Report
全溶融地球の実験的再現:初期地球内部の物質分化過程の解明
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25247087
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
村上 元彦 東北大学, 理学(系)研究科(研究院), 教授 (50401542)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
坂巻 竜也 東北大学, 理学(系)研究科(研究院), 助教 (30630769)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 超高圧力鉱物物理学 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、地球深部に相当する超高圧力条件でのラマン散乱分光測定システムの整備を行い、高温条件での弾性波速度測定を行うために加熱用の炭酸ガスレーザー及び加熱用の光学系の整備をまず行った。超高圧力条件でのラマン散乱分光測定に関しては、δ-AlOOH相に関する圧力85万気圧を超える超高圧力条件にて良質のラマンデータの取得をすることが可能となった。また、同様にブリュアン散乱分光測定装置を用いた超高圧力条件での弾性波測定を同相について135万気圧までの行い、良質のデータ取得に成功した。この結果、最下部マントル圧力条件まで安定であると考えられる含水鉱物相であるδ-AlOOH相はマントル遷移層付近の圧力条件においてはマントル遷移層の主要構成鉱物よりも弾性的に「硬い」ことが明らかになり、マントル遷移層内あるいは上部マントル最下部付近において地震波の正の異常を引き起こす原因となり得ることを示した。また下部マントル最上部においてはブリッジマナイト相と同等の剛性率を有することも明らかになった。一方で最下部マントル付近においては本相の剛性率はブリッジマナイトのそれに比較して顕著に低くなり、最下部マントルにおいては本相は地震波の負の異常に寄与することが予想される。この両データを用いて地球深部へ沈み込む堆積岩中に含まれる含水鉱物の相転移に伴う弾性波速度変化につちて詳細な議論を行い、この結果を論文としてとりまとめ投稿し、論文はJGR誌へ掲載された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
複合分光システムの測定可能圧力範囲は当初の予想を上回り、マントル最下部付近での測定が可能となったから。
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Strategy for Future Research Activity |
超高圧高温条件下での複合分光測定システムの整備・高度化をさらに推し進め、珪酸塩の融解状態での物性測定をより高圧力まで行えるように、実験を計画的に進める。同時に、メルトの原子構造、電子構造のモデル構築のためのシミュレーションと理論計算における共同研究も並行して進め、得られた結果をスムースに解析に移行できるような研究環境整備につとめる。
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Research Products
(2 results)