2013 Fiscal Year Annual Research Report
陽極酸化にもとづく規則細孔配列ナノテンプレートの作製とエネルギーデバイスへの応用
Project/Area Number |
25248052
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (A)
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
益田 秀樹 首都大学東京, 都市環境科学研究科, 教授 (90190363)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西尾 和之 首都大学東京, 都市環境科学研究科, 准教授 (00315756)
柳下 崇 首都大学東京, 都市環境科学研究科, 助教 (50392923)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | ポーラスアルミナ / 鋳型プロセス |
Research Abstract |
初年度は,以下の3点の主な成果が得られた. (1)微細細孔を有する規則細孔配列ポーラスアルミナの形成条件において,従来の2電極系から参照電極を用いた3電極系に替え,より精度の高い陽極酸化設備の構築を行った.これにより,陽極酸化初期の電流挙動を精密に制御することが可能となった.この結果,陽極酸化電圧が10V以下の状結果において,陽極酸化初期の電位掃引操作が細孔配列規則性の向上に影響を及ぼすことが示唆される結果が得られた.しかし,細孔配列が規則化した領域は試料のごく一部であり,その原因の究明と広範囲での規則化条件の探索が課題となった. (2)押出し加工プロセスにもとづくナノワイヤの連続形成において,直径を制御したSnナノワイヤをLiイオン二次電池の負極材料として適用し,ワイヤ直径が電池性能に与える影響について検討を行った結果,ワイヤ径が300nmのものに比べ60nmのほうがより高い放電容量を示すことがわかった.また,従来より検討をすすめてきたSnあるいはSnNi合金に替えて,Alの適用について検討を行った.AlはSnに比べ高融点金属であるが,高温条件下で押出し加工を行うことでポーラスアルミナの細孔径に対応したサブミクロンスケールのAlワイヤの形成が可能であることがわかった. (3)ポーラスアルミナを口金とした溶融金属の紡糸プロセスにおいて,従来より検討を進めてきたSnワイヤーの作製において,口金の細孔サイズと押出し圧力について検討を進めた結果,微細な直径を有するSnワイヤを連続的に紡糸可能なことがわかった.また,オイラー式にもとづくワイヤー形成条件の考察を実施した.今後は,より微細な細孔を有する口金を用いた溶融金属の紡糸条件の探索が課題となった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究で,目的としている細孔周期25nm以下の高規則性ポーラスアルミナの作製において,新規な3電極系装置を導入し,陽極酸化初期の条件を制御することで規則性の向上が期待できる結果が得られている.オイラー式にもとづく理論的考察と実験結果との対応が確認され,ワイヤ形成の今後の指針が得られた.
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究の推進方策を以下に示す. (1)シングルnm~10nm程度の微細な細孔を有する規則性ポーラスアルミナの作製条件の確立については,初年度に導入した3電極系陽極酸化装置をもとに,化成電圧,電流密度,浴温度,化成時間について詳細に検討を進めるとともに,Al地金の微量不純物や結晶粒界が規則性に与える影響についても検討を進める. (2)陽極酸化ポーラスアルミナにおける細孔配列の規則化メカニズムの解明については,初年度に導入したシミュレーションソフトを用い,各種化成条件やアニオン取り込み量等のパラメーターが細孔配列の規則性に及ぼす効果を検討し,独自の数値モデルを構築し規則化機構の検討を行う. (3)極微細孔を有するポーラスアルミナにもとづく高スループット鋳型プロセスの開発については,金属の溶融紡糸,押出し加工等のプロセスに微細細孔周期を有するポーラスアルミナの適用を目指し検討を行うとともに,対象金属の拡大についても継続して検討する.また,作製量の増大を目指すために装置のスケールアップについても検討する. (4)得られたポーラスナノ構造のLiイオン二次電池への応用に関しては,本研究で得られた各種ナノ材料をLiイオン二次電池の負極材料に適用し,幾何学構造と電池特性の関係について充放電特性を中心に検討する.
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Research Products
(12 results)