2015 Fiscal Year Annual Research Report
大気圧プラズマを援用した硬脆ワイドギャップ半導体基板の高能率無歪仕上げ法の開発
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25249006
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
山村 和也 大阪大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (60240074)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 大気圧プラズマ / ワイドギャップ半導体 / SiC / GaN / ダイヤモンド / スラリーレス |
Outline of Annual Research Achievements |
①試作したPAP装置の単結晶GaNへの適用 GaN基板に対して、3インチ基板全面加工用PAP装置の適用を行った。砥石材質及び構造の最適化を調査した結果、固定タイプのレジンボンドセリア砥石は優れた研磨特性を示した。プラズマの発生条件の最適化を行った結果、キャリアガスとしてArの使用、水蒸気分圧の低減、そしてガス流量を増加させることがプラズマ改質速度の向上に有効であることが示唆された。開発したPAP装置を3インチサイズのGaNウエハの研磨に適用した結果、砥石表面の摩耗のため、PAP加工の進行に伴う加工速度の低減が確認された。PAPと砥石のドレシングを交互に適用したところ、193 nm/hの研磨レートが得られた。本レートは従来のCMPにおける研磨レートの約2.5倍である。
②金型用CVD-SiCの形状創成と表面仕上げ加工プロセスの開発 CVD-SiC金型のダメージフリー、高能率,低コスト加工を実現するため、我々はPlasma Chemical Vaporization Machining(PCVM)法による形状修正、ならびにプラズマ援用研磨法(PAP)による表面仕上げから構成される二段階加工プロセスを提案した。本プロセスの有用性を実証するため、ダイヤモンドラッピングにより平坦化したCVD-SiC基板に対して、PCVMによるスクラッチと加工変質層の高速除去を行った後、PAPによる表面のダメージフリー仕上げを行う二段階加工プロセスを適用した。5分間のPCVM加工によって、機械加工で導入されたスクラッチと加工変質層を完全に除去し、その後、3時間のPAP仕上げ研磨によって、表面粗さを0.69 nm rmsまで改善し、スクラッチフリーかつダメージフリーな表面を得た。本結果は、CVD-SiC材に対する二段階加工プロセスの有用性を実証するものである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本年度は前年度に試作したプラズマ発生用電極と表面改質層除去用のレジンボンド砥石を交互に配置したハイブリッド電極を有するプラズマ援用研磨装置を単結晶窒化ガリウム(GaN)ウエハの研磨に適用し、研磨特性の評価を実施した.レジンボンド砥石の摩耗により研磨レートが低下するという問題点が露呈したが,砥石表面のドレシングによる研磨能力の回復を間欠的に実施することにより,研磨レートが持続できることを見いだし,従来のCMPと比較して2.5倍の研磨レートをエッチピットフリーに得ることに成功した.また,金型用の材料であるCVD-SiCの加工において,大気圧下で発生させた局所プラズマの数値制御走査により形状修正を行うプラズマCVM法とプラズマ援用研磨による表面仕上げを組み合わせた二段階の高能率・高精度金型加工プロセスを提案し,サブナノメータオーダの表面粗さをダメージフリーに得ることに成功した。 以上の成果はいずれも高機能性の電子材料ならびに金型材料を高能率・高品位に仕上げる方法として極めて有用であると評価できる。
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Strategy for Future Research Activity |
当初計画以上に進展しており、4年目以降も引き続き計画を前倒しして遂行できるよう研究開発を実行する。
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Research Products
(17 results)