2013 Fiscal Year Annual Research Report
カタストロフィー構造を持つ非線形アクチュエータによる能動索状体の分布駆動と制御
Project/Area Number |
25249009
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (A)
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
田所 諭 東北大学, 情報科学研究科, 教授 (40171730)
|
Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
|
Keywords | アクチュエータ / 能動索状体 / 能動スコープカメラ / ロボット / レスキューロボット |
Research Abstract |
本研究は,カタストロフィー構造を持つ非線形流体アクチュエータによるエネルギーの瞬発的放散,および,流体の慣性による衝撃力および衝撃波を活用する方式により,能動索状体の励振力・駆動力を飛躍的に向上させる方法を開発する.また,素子の非線形特性を活用することによって,複雑な配線無しに多数の素子を多自由度に駆動し,かつ,索状体上での駆動力の分布を制御することを可能にすることを目的としている.平成25年度は,下記の研究実績を上げた. (1) カタストロフィー構造を持った超小型非線形流体アクチュエータの研究開発 a) 新アクチュエータの3次元構造の研究:衝撃力によるアクチュエーションのためには,超小型非線形流体アクチュエータに対して弾性エネルギー・慣性エネルギーなどを緩慢に蓄積する過程と,それらを瞬間的に放散して運動エネルギー・衝撃力・衝撃波に変換する過程を,効率よく交互に繰り返すことが必要である.このため,各種バックリング機構の調査を行った. b) アクチュエータの試作と評価:最初,弾性膜方式の試作を行ったが,膜材料の降伏応力の制約のために割れが生じてしまい,大きな推進力を発生出来ないことがわかった.これを解決するため,コイルバネと磁石を使った機構を考案した. c) シミュレーションに基づくアクチュエータの最適設計:有限要素解析により弾性膜方式の,MATLABによりコイルバネ磁石方式の特性を定量的に解析し,それぞれについて最適設計を行った. (2) 衝撃力や衝撃波の活用法の研究:コイルバネ磁石方式の試作の結果,摩擦平面上で,インパクト駆動と同様の方式によって,慣性力と衝撃力を活用し,推進力が発生できることを実験的に示した.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究の計画当初に考えていたように,下記の見通しを得ることが出来た. (1) カタストロフィー構造を持つ超小型非線形流体アクチュエータの研究開発:エネルギーを蓄積し,それを瞬発的に放散することができるアクチュエータの開発.現段階で最有力と考えられるコイルバネ磁石方式は,機構設計によって細径の索状体に埋め込みが可能なセンチメートルサイズに小型化することが可能と考えられる. (2) 索状体の運動・形状制御に対する慣性による衝撃力や衝撃波の活用に関する研究開発:慣性力と衝撃力を異なる方向に発生できるコイルバネ磁石方式の考案によって,索状体の運動を制御できると考えられる.一方で,衝撃波の活用について,当初有効と見込んでいたものの,小型アクチュエータでは発生力の周波数が高いことがわかり,能動索状体の駆動に使用することは困難と判断した. これらの見通しは,本研究の初年度の成果として,2年目以降の研究の基礎を整えられたものと考えており,概ね順調に進展している,と判断する.
|
Strategy for Future Research Activity |
研究計画に従い,次のように研究を推進していく予定である. (1) カタストロフィー構造を持った超小型非線形流体アクチュエータの研究開発:効率的に大きな衝撃力や衝撃波を発生できるアクチュエータ素子を引き続き研究開発する.具体的には,3次元構造の研究(超小型非線形流体アクチュエータに対して弾性エネルギー・慣性エネルギーなどを緩慢に蓄積する過程を,効率よく交互に繰り返すことが出来る3次元構造を明らかにする),シミュレーションに基づくアクチュエータの最適設計,アクチュエータの試作と評価. (2) 衝撃力と慣性力の活用法の研究:衝撃力や慣性力を推進させたい方向への駆動力に効率的に変換し,運動に変換するメカニズムを研究する.具体的には,アクチュエータに取り付けられた質量が急激に加速又は停止することによって発生する衝撃力と慣性力を索状体のアクチュエーションに効率よく利用する方法を検討する.また,多自由度の駆動力・モーメントへの変換として,集中的・分布的駆動力を組み合わせて多自由度の駆動力を発生させる機構の研究開発を行う. (3) 多数の素子の駆動分布の制御:多数の素子を分布的に駆動し,索状体全体に所望の運動を実現する方法を研究する.そのため,アクチュエータ素子に選択的に衝撃力や慣性力を発生させる方式の研究開発,多自由度の駆動力分布によって発生する索状体の運動の研究,索状体の運動のための駆動力分布の計画,を研究する.
|