2013 Fiscal Year Annual Research Report
UWBレーダードップラー分離干渉計法による人体の高次モニタリング
Project/Area Number |
25249057
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (A)
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
佐藤 亨 京都大学, 情報学研究科, 教授 (60162450)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | レーダー / 人体計測 / バイタルモニター |
Research Abstract |
人体の各部は、運動中はもちろん、就寝時においても複雑な運動をしている。申請者らはUWB(超広帯域)パルスレーダーを用いて、目標の運動に伴う微小なドップラー偏移を検出し、時間・周波数領域で複数目標を分離した上で、干渉計法の原理によって複雑形状物体の位置、形状、運動を把握する手法を開発してきた。本研究ではこれらの手法を人体の運動に特化し、実用性能を向上させて、さまざまな社会的ニーズに対応できるイメージング手法を実現することを目的とする。初年度となる本年度は、研究目的に掲げた3つの課題(次項参照)を、従来の成果によって開発した手法に加え、それらを発展させた以下の手法を組み合わせることで達成した。 A. 周波数領域干渉計(FDI)法による近接反射波の分離と高精度決定:申請者らは、FDI 法を医用超音波イメージングに適用するため、信号相関関数の周波数領域平均化による相関抑圧を導入した手法を開発し、強い相関性を持つ生体各部からの信号の分離に成功した。本年度は、複数の歩行人体を目標とするドップラー分離干渉計法に応用することを想定した基礎的数値シミュレーションを行い、本手法の妥当性を確認した。 B. 複数方向からのドップラー干渉計法による多数目標の2次元分離追跡:これまでに開発してきた手法では、アンテナから見た方向の速度(視線速度)のみにより目標を識別する。本年度は単純形状物体について、複数基線の干渉計による速度ベクトル決定の原理を検証した。 C. 圧縮センシングを用いた高解像度時間・周波数分離手法の開発:遠隔バイタルモニターにおいては、呼吸(0.5Hz 程度)と心拍(1~2Hz 程度)という近接した周波数の信号を分離する必要がある。本年度はレーダーによる被験者の実測を行い、安静な状態について両信号の分離が可能であることを検証した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では申請者らが開発してきたUWB(超広帯域)パルスレーダーを用いて、目標の運動に伴う微小なドップラー偏移を検出し、時間・周波数領域で複数目標を分離する手法を人体の運動に特化し、実用性能を向上させて、以下の社会的ニーズに対応できるイメージング手法を実現することを目的としている。 1. 屋内および建物周辺における侵入者を正確に検知し、その動作を把握する。 2. ショッピングモール等において複数歩行者の運動を把握・追跡し、カート等の走行を支援する。 3. 家庭内における家族のそれぞれを同定し、遠隔で呼吸や心拍などのバイタルモニターを行う。 上記の実績の概要に記載の通り、本年度はそれぞれの目標について基礎的なシミュレーションに基づくアルゴリズムの確認および基礎的実験に基づく手法の妥当性の検証を行い、いずれも十分な妥当性を有することを確認して、所定の期間内に目標を達成できる見通しを得た。計画初年度の進捗としては順調と判断している。
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Strategy for Future Research Activity |
前年度に開始した手法A~C の開発は、最終年度まで継続しつつ、進捗に応じてその成果 を上記の3つの社会的課題に順次適用する。 まず平成26年度は、課題1および2に関して実験(数値実験を含む)環境を整備し、基礎的実験データの取得を開始する。壁面を有する大型の室内に電波吸収体や反射板を配置し、UWB レーダー装置(パナソニック社より提供)を設置し、時系列データを取得する。複数の歩行者を様々な状況を想定して配置し、ビデオカメラおよび3 次元ディジタイザで参照位置データを記録する。課題3については引き続き人体計測データを蓄積し、心拍と呼吸の分離に必要な手法の検討を進める。 平成27年度以降は、課題1および2の開発により得られたアルゴリズムを課題3に応用する等、複数課題間における開発技術の融合を図り、相乗効果により所期の目標の達成を目指す。
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