2013 Fiscal Year Annual Research Report
様々な形態の水が関与する二次有機エアロゾル生成による室内汚染機構の解明と健康影響
Project/Area Number |
25249080
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (A)
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
藤井 修二 東京工業大学, 情報理工学(系)研究科, 教授 (60126282)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鍵 直樹 東京工業大学, 情報理工学(系)研究科, 准教授 (20345383)
並木 則和 工学院大学, 工学部, 教授 (40262555)
関口 和彦 埼玉大学, 理工学研究科, 助教 (50312921)
東 賢一 近畿大学, 医学部, 講師 (80469246)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 建築環境・設備 / 空気環境 / 室内二次生成エアロゾル / 空気汚染 |
Research Abstract |
近年の住宅室内空気汚染においては,家庭用品由来のVOC(揮発性有機化合物)の発生とともに化学反応による二次生成有機エアロゾルが注目されている。一方,生成に関与する室内の湿気については,使用する加湿器の種類や調理により空気中で蒸気やミストなとど水の存在形態が異なっていることが考えられる。室内で生成する二次有機エアロゾルについては,水溶性の物質であることが申請者らの既往の研究により判明している。そこで本研究では,空気中の水の存在形態に着目し,室内二次生成有機エアロゾルの生成や挙動に与える影響について,基礎的な実験を元に,実スケールにおける実測を行うことにより解明することで,空間中での室内汚染機構予測モデルの構築を行うとともに,人への健康影響についても評価することを目的とする。 本年度においては,室内におけるリモネン及びp-ジクロロベンゼンを対象として,粒子生成に関する基礎的な実験を行った。リモネンとオゾンによる反応については,環境中の湿度の影響が示唆されているが,近年の住宅環境を考える上で,加湿の方式によっては,蒸気又はミストとして空間中に浮遊している。これらの水の形態の違いに着目し,蒸気及びミストを与えた環境におけるオゾン・リモネン反応について,流通式チャンバーを作製することにより,その特性の把握を行った。結果として,ミストの存在により,通常の二次粒子生成とは異なる凝集過程が加わることで,反応が複雑化していることが示唆された。また,p-ジクロロベンゼンによる粒子生成については,従来までのバック内で起こっていた反応を流通式チャンバーを製作することで,その反応過程を再現できるものとした。今後は,粒子の組成なども考慮し,検討を行っていく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究においては,二次生成粒子の反応過程について詳細に検討するために,新たに反応チャンバーの製作を行い,生成実験を行った。リモネンについては,加湿ミストとの共存実験を行うことで,より水の形態による影響について,検討を行うことができた。また,p-ジクロロベンゼンにおいては,その反応過程を解析するために,バック法とは異なるチャンバーを製作し,生成粒子を検出することができた。今後は,これらの現象の解明を行って行くこととなり,本年,概ね順調に進展していることから,目的通り研究を進めることとする。
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Strategy for Future Research Activity |
来年度においては,今年度製作したチャンバーを用いて,更にリモネン及びp-ジクロロベンゼンの粒子生成実験を行うと共に,その現象解明を行う。これには,粒子及びガスの組成解析を始め,反応チャンバー内での気流性状による反応状況を数値解析手法を用いて検討を行う。更には,粒子生成・成長を取り扱う分子軌道計算に基づく粒子生成挙動数値解析モデルの作成,評価を行うことで,実空間への適用性についても検討を行う。 また,この対策技術として,活性ミストによる分解除去について提案を行い,VOC分解除去性能についても検討し,実空間においての実用可能性について議論する。 更に,ミストとの相互作用により生成した吸湿性粒子の人体影響についても,文献調査を元に検討を行う。
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