2013 Fiscal Year Annual Research Report
セラミックス界面層構築による金属材料の生体機能化とその評価
Project/Area Number |
25249094
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (A)
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
成島 尚之 東北大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (20198394)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
春日 敏宏 名古屋工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (30233729)
小笠原 康悦 東北大学, 加齢医学研究所, 教授 (30323603)
上田 恭介 東北大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (40507901)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | チタン / リン酸カルシウム / 骨適合性 / 生体吸収性 / アナターゼ / 光触媒 / 生体材料 / 抗菌性 |
Research Abstract |
(1) Nb2O5を含有するリン酸カルシウムターゲットを使用することで、Nb添加非晶質リン酸カルシウム膜を作製した。Nbの添加はコーティング膜の非晶質化に有効であった。コーティング膜中でNbはPサイトへ置換し、リン酸のネットワーク構造を強固にする作用を有すると推察された。実際にTRIS緩衝液中への溶解速度はNb添加量の増加に伴い減少した。Nb添加により非晶質リン酸カルシウム膜の生体吸収性を制御できた。Nb添加非晶質リン酸カルシウム膜とチタン基板との密着力はNb添加量に依らず60MPa以上の高い値であった。 (2) Nb添加非晶質リン酸カルシウムコーティングを施したチタン板表面でSaos-2(ヒト骨芽細胞様細胞)を用いた細胞培養試験を行い、Nbの添加は骨形成に関与する遺伝子の発現量を増加させることを示した。 (3) 家兎を用いた動物埋入実験により非晶質リン酸カルシウムコーティングはチタンインプラントの骨接触率、骨増生量、骨安定指数(共鳴周波数分析)を増加させ、骨形成を促進することを明らかにした。 (4) Ti-Nb合金の二段階熱酸化によりNbを含有したアナターゼ皮膜を作製することができた。TiへのNb添加量の増加に伴いアナターゼが形成される酸化条件が広がった。二段階熱酸化法により作製したTiO2皮膜の抗菌性評価試験方法を確立した。UV照射下において、アナターゼ皮膜は光触媒活性に伴う高い抗菌性を発現した。 (5) 溶液析出法により、粒径数nmのAg粒子が分散したハイドロキシアパタイト粉末を合成することができた。これらの粉末を焼結してバルク体を作製したところ、Ag添加はリン酸三カルシウムの高温相への相変態を抑制することが分かった。加えて、リン酸三カルシウムおよびハイドロキシアパタイトへのAg溶解度を定量的に導出することができた。TRIS緩衝溶液中におけるAg含有リン酸カルシウムの溶解性を評価したところ、Ag添加はリン酸三カルシウムの溶解速度を低下させた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
平成25年度の主な研究項目である以下の二点に関しては予定通り研究は進捗した。特に(1)に関しては、生体内外評価として細胞培養実験および動物実験までを行うことができた。 (1) 非晶質リン酸カルシウム膜へのNb添加による生体吸収性制御および生体内外評価 (2) 二段階熱酸化法によるTi表面でのアナターゼ皮膜形成に及ぼすNb添加の影響および光触媒活性評価 これらに加えて、(イ)Ag添加リン酸カルシウム粉末およびバルク体の合成方法の確立、(ロ)Ag添加がリン酸カルシウムの構造・溶解性に及ぼす影響の解明、(ロ)二段階熱酸化法により作製したアナターゼ皮膜の抗菌性評価法確立と予備評価実験、を行うことができた。(イ)~(ロ)は本来、平成26年度に実施を予定していた項目であり、計画以上の研究進展と評価できる。特に、(ロ)に関してリン酸三カルシウムおよびハイドロキシアパタイトのAg溶解度を定量的に評価できたことは学術的にも大きな成果である。
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Strategy for Future Research Activity |
(1) RFマグネトロンスパッタリング法によりAg添加非晶質リン酸カルシウムの薄膜化を推進していく。平成25年度に明らかにしたAg添加リン酸カルシウムの相・溶解性とAg濃度との関係を基礎として、薄膜の相・組成設計を行う。非晶質リン酸カルシウム膜の抗菌性と生体適合性の両立に着目して研究を遂行する。Agの溶出速度が大きく骨系細胞に悪影響を及ぼす場合にはNb添加(Agとの共添加)により非晶質リン酸カルシウム膜の溶解性を制御することでAg溶出を抑制する。 (2) 平成25年度に確立したUV照射下におけるTiO2皮膜の抗菌性評価方法を利用して、TiおよびTi合金表面に二段階酸化法により作製したTiO2皮膜の相・組成と光触媒活性に伴う抗菌性発現の関係を明らかにしていく。平成26年度以降、二段階酸化法により可視光応答性を有するTiO2皮膜の作製にチャレンジする。基板となるTi合金としては、Ti-Nb系に加えTi-Ag系, Ti-Au系, Ti-Cr系, Ti-V系などを検討する。なお、Ag, Au, Cr, VはTiO2へ固溶することでTiO2の可視光応答に寄与することが示唆されており、二段階酸化プロセスを通してTi合金中のこれらの元素をTiO2皮膜へ導入する。本項目では、TiO2皮膜中に存在する微量元素の存在状態や濃度などの分析が問題になる可能性が高い。高分解能TEMやXPSなどを活用するとともに、分析の専門家の助言も求めたい。
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Research Products
(36 results)
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[Journal Article] NKG2D+ IFN-γ+ CD8+ T Cells Are Responsible for Palladium Allergy2014
Author(s)
M. Kawano, M. Nakayama, Y. Aoshima, K. Nakamura, S. Nakamura, Y. Takeda, A. Takahashi, A. Ito, K. Ueda, N. Sato, T. Kondo, S. Hashimoto, M. Watanabe, M. Watanabe, T. Takahashi, K. Sasaki, M. Nakamura, T. Sasazuki, T. Narushima, K. Ogasawara et al.
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Journal Title
PLOS one
Volume: 9
Pages: e86810 1-12
DOI
Peer Reviewed
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