2013 Fiscal Year Annual Research Report
固相での動的拡散に基づくヘテロ構造創成のための新接合原理の確立
Project/Area Number |
25249095
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (A)
|
Research Institution | Toyohashi University of Technology |
Principal Investigator |
福本 昌宏 豊橋技術科学大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (80173368)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小川 和洋 東北大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (50312616)
|
Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
|
Keywords | 異材接合 / ヘテロ界面 / 動的拡散 / 摩擦攪拌接合 / 凝集微粒子投射成膜 |
Research Abstract |
計画した①摩擦攪拌援用バルク体接合,②凝集微粒子投射援用膜創成,の2テーマにおいて,平成25年度に概略以下の成果を得た. 擦攪拌援用バルク体接合:当初予定した純Cuに代えて,より一般的な実用材料であるAl合金に金属材料を変更し,Al合金/アルミナ基材間の摩擦攪拌接合を実施した.このため接合性に対するツール回転速度,押し込み荷重,保持時間のプロセス因子を系統変化させた接合体作製実験を行った.得られた接合強度評価結果を基に各プロセス因子の影響度合いを評価し,支配因子を特定した.またAl合金/アルミナ界面接合強度の改善には熱応力緩和機能および冶金的因子が重要であることから,純Alインサート層およびTiNコーティング層付与としてその効用を評価した.その結果,ツール回転速度,押し込み荷重,保持時間はいずれも支配的な影響は持たず,適正条件の組み合わせにより良好な接合体創製が可能なこと,界面接合形成に関与する材料流動には,ある位置において流動が最大となる半径方向での分布があり,これを平準化することが接合体継手強度向上に重要である等の新規の知見を得た.なお,上記試験片の縦断面組織観察には今回の予算で新規に導入した精密ワイヤー切断機を活用した. 凝集微粒子投射援用膜創成:成膜の素過程となる単一凝集粒子について,仮焼温度の変化に伴う凝集強度を実測し,成膜特性との関係性推定の基礎データを蓄積した.このため,今回の予算で新規に導入した粒子圧潰試験機を用い,単一粒子圧潰強度評価法を確立した.その結果,仮焼温度の上昇に伴い粒子凝集強度は徐々に低下し,500℃付近で最低を示した後に向上に転じる興味深い特性が明らかになった.一方,未処理凝集粒子の成膜に及ぼす基材側因子の影響を系統調査した結果,中間層および基材表面粗さおよび硬さが密着強度に深く関与するとの知見を明らかにした.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
上記2テーマにおいて,平成25年度は当初計画に沿った形で実施し,初期の予定をほぼ達成することができたことから,現在までの達成度を(2)と自己評価した. 擦攪拌援用バルク体接合:当初予定した7項目のうち下記5項目を達成した.1)アルミナ基材を用い,プロセス因子を系統変化させて接合体を作製,2)得られた接合体のAlのアルミナ内への拡散,接合強度を評価,3)上記各プロセス因子の影響度合いを評価し支配因子を特定するとともに支配因子の影響を定量的に把握,5)最高接合強度を発現する際のピン圧力,界面温度,界面へのAl流動状況を明らかにし,接合強度最適化に対するこれら因子の要件を定量把握,6)支配因子を含む接合体創成に関わる各因子の最適条件を明確化,7)粗面化およびMo-Mn法によりメタライズ処理したアルミナ基材での接合強度の評価による表面因子最適条件の解明. 凝集微粒子投射援用膜創成:当初予定した7項目のうち下記6項目を達成した.1)圧力,温度,投射距離を変化させてチタニア粉末をAl基材上に投射し,皮膜試験片を作製,3)各条件での成膜効率,単一粒子密着強度,皮膜の気孔率,硬さ,密着強度特性を評価,4)成膜効率,皮膜密着強度評価結果を基に上記各因子の影響度合いを評価し支配因子を特定するとともに支配因子の影響を定量把握,5)粒子凝集強度を粒子圧潰強度評価装置で評価し当該強度と成膜効率,膜密着強度との関係より最適仮焼条件を明らかにする,6)支配因子を含む膜創成に関わる各因子の最適条件を明らかにする,7)表面粗さを変化させたAl基材での膜密着強度を評価し,最高密着強度を与える基材表面粗さを明らかにする.
|
Strategy for Future Research Activity |
今年度以降において,下記項目を重点的に実施する予定である. 摩擦攪拌援用バルク体接合:○高強度接合体創成に向けた取り組み 1)インサート金属の材質選定:軟質,塑性流動性,2)インサート金属の厚さの適正化:11, 50, 100m,3)ツールデザインの適正化:ピン長さ,ピン部ねじの有無,ショルダー面スクロールの有無,○金属/セラミックス接合機構の把握・解明 4)Alのアルミナ基材内への拡散挙動を定量把握し界面接合強度への影響を評価,5)Al/アルミナ界面およびAl/Ti/アルミナ界面微視組織のTEM観察,元素分析,○解析ソフトによる材料流動の数値解析,可視化 6)数値解析によりAlの流動状態を可視化し,アルミナ界面での接合性に対する流動因子の関与を定量把握,○解析結果と実験結果との照合 凝集微粒子投射援用膜創成:○粒子凝集強度と成膜効率,膜密着強度との関係調査 1) 粒子凝集強度を粒子圧潰強度評価装置で評価し,当該強度と成膜効率,膜密着強度との関係より最適仮焼条件を明らかにする,2)最適仮焼条件作製した粉末を用い作製したチタニア皮膜の光触媒特性を評価し,既存粒子による皮膜の特性を比較し,本法の優位性を検証する,○分子流体解析による数値シミュレーション 3) 分子流体解析法により2次凝集粒子内の材料流動を数値解析し,基材表面での1次ナノ粒子の流動,結合挙動を推定する,4)解析での流動挙動を実験で得た密着強度評価結果と照合し,粒子流動の密着への関与,膜形成メカニズムについて考察する.
|
Research Products
(12 results)