2013 Fiscal Year Annual Research Report
ヘテロ構造型マグネシウム合金の高機能発現機構の解明とその組織制御技術への展開
Project/Area Number |
25249101
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (A)
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Research Institution | Nagaoka University of Technology |
Principal Investigator |
鎌土 重晴 長岡技術科学大学, 工学部, 教授 (30152846)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮下 幸雄 長岡技術科学大学, 工学部, 准教授 (00303181)
本間 智之 長岡技術科学大学, 工学部, 准教授 (50452082)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | マグネシウム合金 / 動的析出 / 動的再結晶 / ヘテロ構造組織 / 集合組織 / 引張特性 / 疲労特性 / クリープ特性 |
Research Abstract |
本年度は時効析出型展伸用合金であるMg-Gd-Y-Zn-Zr系、Mg-Gd-Y-Zn-Mn系、Mg-Gd-Y-Ca-Zn-Zr系合金、Mg-Al-Ca-Mn系、Mg-Sn-Zn-Al-Mn系合金のヘテロ構造組織の形成メカニズムおよび高機能発現メカニズムの解明を目指した。 これらの合金系では350~400℃の比較的高い温度で押出しあるいは圧延を施した場合でも、動的析出を伴った動的連続再結晶が生じる。その際、熱間加工中に形成されるナノサイズの動的析出物が、一般的に既存の展伸用マグネシウム合金で生じる二重双晶と動的回復を伴った動的連続再結晶を抑制し、その結果、せん断力が働く方向に伸長しただけの加工ひずみが大量に残留した強い底面集合組織を形成する未再結晶領域と、微細で比較的ランダム配向した再結晶粒領域から構成されるバイモーダルなヘテロ構造組織が形成される。低温・低速で熱間加工した場合にナノサイズの動的析出量が増えるため、未再結晶領域が顕著に増える。また、Mg-Gd-Y-Zn系合金への添加元素をZrからMnに代替することにより、鋳造状態の組織が粗大化し、未再結晶領域は大幅に増える。 ナノサイズの析出物、大量の残留加工ひずみ、強い底面集合組織を有する未再結晶領域が増えるにつれて、強度、耐熱性および疲労強度とも顕著に向上し、各合金系とも400MPa以上の引張強さを得られるようになる。さらに、希土類元素を含む合金では未再結晶領域が20%から75%に増えることにより、最少クリープ速度は2桁も小さくなること、高濃度Mg-Al-Ca-Mn系合金では、疲労試験初期段階で化合物内部あるいは化合物とマトリックスの界面に微小亀裂が発生するものの、未再結晶領域により亀裂進展が抑制され、室温における疲労強度は超々ジュラルミンの疲労強度を上回るようになる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
研究実績の概要でも述べたように、今年度予定していた時効析出型展伸用合金のヘテロ構造組織の形成メカニズムおよび高機能発現メカニズムの解明を達成した。これらの結果から、時効析出型合金の場合、低温・低速にて熱間加工し、熱間加工中の動的析出を十分に促進させることによりナノサイズの析出物、大量の残量加工ひずみ、強い底面集合組織を有する未再結晶領域の体積率が顕著に増加し、その結果として引張特性、耐熱性、疲労特性等の機械的性質を顕著に向上させることに成功した。さらに、既存展伸用マグネシウム合金で見られる耐力の異方性の改善にも未再結晶領域の増大が有効であることも確認している。一方では、アルミニウムサッシ並みの良好な加工性を有する希薄Mg-Al-Ca-Mn系合金でも同様な結果が得られており、同程度の再結晶粒でも未再結晶領域の体積率の増加に伴い、耐力は200MPaから50%増の300MPaにまで向上することを明らかにしている。これらの成果は次年度以降の新規汎用型高性能マグネシウム合金の合金設計、製造プロセス条件の最適化に大変有効なシーズとなることから、当初の計画以上に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
現状の研究組織にて当初の計画以上に進展していることから、基本的には研究組織は現状のままで進める予定である。ただし、今後予定しているプロセス‐マルチスケール組織-特性の定量的解釈を精度良く具現化するため、研究代表者(鎌土、主としてプロセス条件の最適化と総括)と研究分担者(宮下:機械的性質の評価・解析、本間:ナノミクロ組織の評価・解析)の連携強化を図る予定で、四半期ごとに研究成果の報告と次に向けた方策を検討する。 さらに今後予定している定量的評価とその合金設計への展開には、更なる精緻なナノ組織の定量的な評価・解析が必要となることから、物質・材料研究機構の宝野研究室へ研究者を派遣し、高分解能TEMや三次元アトムプローブ等を用いた原子・ナノスケールでの組織・構造解析を推進する。
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Research Products
(44 results)