2014 Fiscal Year Annual Research Report
ヘテロ構造型マグネシウム合金の高機能発現機構の解明とその組織制御技術への展開
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25249101
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Research Institution | Nagaoka University of Technology |
Principal Investigator |
鎌土 重晴 長岡技術科学大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (30152846)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮下 幸雄 長岡技術科学大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (00303181)
本間 智之 長岡技術科学大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (50452082)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | マグネシウム合金 / 時効析出 / 動的再結晶 / ヘテロ構造組織 / 集合組織 / 変形機構 / 引張特性 / 押出し加工 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は希薄合金のヘテロ構造組織形成メカニズムの解明とその展開による高機能化、ならびに高濃度合金の凝固時に形成されるヘテロ構造組織を生かしたプロセス制御による組織の超微細化・均質化とそれにより得られる高機能発現メカニズムの解明を目指した。 希薄Mg合金では、低温加工では二重双晶と動的回復を伴った動的な連続再結晶が生じ、結晶粒は微細化されるものの、集合組織は弱化する。一方、高温加工では粒界の張出しを伴った動的な不連続再結晶が生じ、強い集合組織が形成される。その結果、高温押出材の方が強い集合組織に起因した高耐力が得られる。また、Mg-Al-Ca-Mn系希薄合金でもAl添加量の増加に伴い、比較的低温でも動的な不連続再結晶が生じ、強い集合組織を有する再結晶粒が形成されることを見出し、Al添加量の最適化により高い時効硬化能を同時に発現させることにより、汎用的な時効硬化型Al合金を大きく上回る引張耐力と伸びを同時に得ることに成功した。さらに、Mn添加量の増加に伴い微細なAl-Mn化合物のピン止め効果により微細な再結晶粒と強い底面集合組織が形成され、高い強度が得られることも明らかにした。 一方、共晶組成に近いMg-Al-Ca-Mn系の高濃度合金を連続鋳造し、冷却速度を大きくすると、層状の共晶領域の層間隔および化合物の幅がナノサイズまで微細化される。そのようなヘテロ構造組織のままで熱間加工を施すと、化合物がナノサイズまで分断・球状化し、動的再結晶が促進されるとともに、球状化合物のピン止め効果により、再結晶粒は1μm未満にまで超微細化される。その結果、高強度と耐熱性を兼ね備えた高機能材料が得られる。一方では、ジュラルミンのような高濃度Al合金では高速押出しが困難とされているが、前述したように、加工中に化合物がナノ球状化し、再結晶サイトとなるため、動的再結晶が促進され、高速押出しも可能になる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
研究実績の概要でも述べたように、今年度予定していた希薄合金のヘテロ構造組織形成メカニズムの解明とその展開による高機能化、ならびに高濃度合金の凝固時に形成されるヘテロ構造組織を生かしたプロセス制御による組織の超微細化・均質化とそれにより得られる高機能発現メカニズムの解明を達成した。これらの結果から、レアアースフリーの希薄Mg-Al-Ca-Mn系合金でも合金元素量および動的再結晶メカニズムに基づいた加工熱処理条件の最適化により、商用合金として輸送機器等に大量に使用されているAl-Mg-Si系やAl-Mg系合金と同等以上の強度と延性を併せ持つ革新的新Mg合金の開発に成功した。これらの成果は新幹線や自動車用材料としての応用が期待されている。 さらに、ジュラルミンのような高濃度Al合金では高速加工が困難とされてきたが、超微細なヘテロ構造組織を有する鋳造組織を生かす加工条件の最適化により、熱的に安定な化合物をナノオーダーサイズにまで球状化させ、再結晶促進効果と再結晶粒の粗大化を抑制するピン止め効果を加工中に同時に発現させる組織制御に成功した。その結果、高速加工と再結晶粒の超微細化を達成し、400MPaを超える耐力を得られるようになる。これらの成果は次年度の新規汎用型高性能マグネシウム合金の合金設計および組織制御のための製造プロセス条件の最適化のための大変有効な指針になることから、当初の計画以上に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
現状の研究組織にて当初の計画以上に進展していることから、基本的には昨年度と同様に研究組織は現状のままで進める。ただし、今後予定している高速加工材のプロセス‐マルチスケール組織-特性の定量的解釈を精度良く具現化するため、昨年度と同様に研究代表者(鎌土、主としてプロセス条件の最適化と総括)と研究分担者(宮下:機械的性質の評価・解析、本間:ナノミクロ組織の評価・解析)の連携強化を図る予定で、四半期ごとに研究成果の報告と次に向けた方策を検討する。 さらに今後予定している集合組織形成メカニズム、変形機構や特性発現メカニズムの解明とその合金設計への展開には、更なる精緻なナノ組織の定量的な評価・解析が必要となることから、昨年度と同様に物質・材料研究機構の宝野研究室へ研究者を派遣し、高分解能TEMや三次元アトムプローブ等を用いた原子・ナノスケールでの組織・構造解析を推進する。
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Research Products
(41 results)