2013 Fiscal Year Annual Research Report
新規熱化学プロセスによる木質バイオマスからの各種モノマーの選択的製造
Project/Area Number |
25249109
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (A)
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
前 一廣 京都大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (70192325)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
長谷川 功 京都大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (20346092)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 木質バイオマス / セルロース / 糖化 / HMF |
Research Abstract |
初年度はセルロースからのギ酸糖化と、糖類からのHMFへの転換について検討した。ギ酸糖化によるセルロースから糖類の製造において、セルロースは強固な水素結合を形成し結晶性を有するため、反応には過酷な条件が求められることが多い。そこで事前の加熱処理や固体酸処理による改質処理でギ酸糖化の促進を図った。まず、ろ紙セルロースに様々な固体酸を混合し、10 ℃/minで250℃または270℃まで昇温し、その温度で30分保持させた。固体酸としては、酸化ニオブ、ペンタキス(シュウ酸水素)ニオブ、グリコール酸、シュウ酸二水和物を用いた。次に、回分反応器に改質試料と50 wt%ギ酸を仕込み、反応温度(120℃、140℃、175℃)を変化させて反応時間2 hで反応を行った。この結果、改質処理なしのろ紙セルロースは140℃以下の温度条件ではほとんど糖化しないが、固体酸のグリコール酸を加えた条件では、140℃以下の穏和な温度条件でも37%も糖化していることがわかった。 一方、糖類からHMFの転換については、イオン交換樹脂を担体として用い、金属イオンをイオン交換し金属を担持させることで、水中でもルイス酸及びブレンステッド酸として機能する触媒を作製した。グルコースを原料とした場合のHMFの生成には溶媒のpHの制御が重要であり、リン酸緩衝液(PB)を用いることで30.5 mol%の収率でHMFを生成した。さらなる収率向上のため、水相:PB、油相:2-sec butylphenolを用いた二相系に触媒を添加し、170℃、60 minの条件で接触分解を行うことで、HMFからレブリン酸への水和反応を抑制し、53.2 mol%の収率でHMFを生成することに成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度としての当初の研究計画に基づき研究を推進でき、ポリマー原料となる有用物質も高収率で得られているため。
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Strategy for Future Research Activity |
HMFをより高収率で得るためには重縮合物への過分解を抑制する必要があるため、そのために最適な酸点を有する触媒を設計する予定である。また、セルロースの穏和な条件での糖化には構造緩和がキーポイントであるため、溶解や膨潤させるための処理を検討する。
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