2015 Fiscal Year Annual Research Report
3次元ナノ界面の大規模創製と、蓄電デバイス電極への展開
Project/Area Number |
25249111
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
野田 優 早稲田大学, 理工学術院, 教授 (50312997)
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Project Period (FY) |
2013-10-21 – 2017-03-31
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Keywords | ナノ界面 / 3次元化 / カーボンナノチューブ / シリコン / 高速製膜 / 蓄電応用 |
Outline of Annual Research Achievements |
①急速蒸着法によるCNT-金属複合集電体創成と活物質複合化によるポーラス電極開発 Cu箔はLi二次電池負極の主要な集電体で、軽量化が課題である。CNTとCu蒸着膜が直接接合したバインダーレスの三次元集電体を開発した。CNT垂直配向膜にCuを蒸着、自己組織化でCNT壁状構造体を実現した。さらにSi-Cuを蒸着、40サイクルで1500 mAh/g-Si, 2 mAh/cm2の高い放電容量を実現した。Al箔はLi二次電池正極やキャパシタ電極の集電体として多用される。CNTスポンジ膜やCNT垂直配向膜などへのAl蒸着により多様なCNT-Al三次元集電体を実現、さらに活物質層にAlを蒸着する逆転の発想を行い、レート特性に優れたCNT-活性炭/Alキャパシタ電極を実現した。
②CNTスポンジ膜中への活物質包含によるソフト電極開発 S@CNTソフト電極では、昇華法に注力して特性向上を進めた。S包含量は60 wt%程度で最も優れた特性が得られた。高濃度電解液を併用、100サイクル時に約800 mAh/g-Sの高い放電容量を実現した。Si@CNTソフト電極では、Siナノ粒子の粒径制御、Si/CNT比制御により性能向上を進め、100サイクルで900 mAh/g-Si, 0.7 mAh/cm2の放電容量を実現した。さらに現行電池で正負極に用いられているLiCoO2、黒鉛を用いたソフト電極を作製、両者を組み合わせた全電池を開発した。1 wt%のCNTで99 wt%の活物質を保持、130 mAh/g-LiCoO2, 353 mAh/g-graphiteと実用電池と同等性能を実現した。バインダーレス、金属箔レスのため、電極総質量あたりの性能はとても良好であった。さらに50 mm角のラミネートセルを作製、金属箔の櫛形電極で動作、CNTによりバインダーと金属を実電池からほぼ無くせることを示した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本課題では、Cu箔上の組成傾斜を有したSi系多孔質膜によるリチウム二次電池負極と、CNTスポンジに活物質を包含した電気化学キャパシタ電極から入り、最終年度にCNTスポンジをベースとしたリチウム二次電池の正負極まで取り組む計画であった。前倒しで検討が進み、H26年度にはS@CNT、Si@CNTソフト正負極に着手、H27年度に上記の良好な特性を達成した。また、蓄電デバイスに欠かせないCu箔に関して、バインダーを用いず、CNTが突き刺さったCu箔およびAl箔を急速蒸着法で開発できた。蓄電デバイス中で大きな重量割合を占める金属箔集電体を軽量化し、かつ界面を三次元化できるこの集電体は、当初計画にはなかったが、本研究開発の途中で着想し、2件の特許出願にも繋がった。さらに、CNTスポンジを用いLiCoO2と負極の正負極を開発、その全電池動作、さらにはラミネートセル動作も実現した。申請額の2/3という限られた予算で、人件費と消耗品費でそのほとんどを使い切ってしまう状況が続いているが、グローブボックス等の必須設備を連携者に借用し、また技術面でも支援して頂くことで、計画以上のペースで進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究課題は順調に立ち上がり、H25-27年度を通して当初計画以上のペースで前倒し+αで進んでいる。今後も現状の進め方を維持し、計画以上の成果をあげたい。 ただ、予算は申請額の2/3と限られ、人件費と消耗品費でそのほとんどを使い切ってしまう状況が続いており、追加の可能性があればご検討頂きたい。
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