2013 Fiscal Year Annual Research Report
無機物質に結合する特異ペプチドの分子設計の基盤技術
Project/Area Number |
25249117
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (A)
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
黒田 章夫 広島大学, 先端物質科学研究科, 教授 (50205241)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 無機結合ペプチド / アスベスト / NMR / 蛍光プローブ / バイオアッセイ |
Research Abstract |
角閃石系アスベストに結合するタンパク質(HNS)は特異性が十分でないが、アミノ酸60-90番目の領域に限定してストレプトアビジン上に4つ提示させると、アスベスト特異的に結合することが分かってきた。また、さらに領域を限定していった結果、KSGTKAKRの8つのアミノ酸あれば角閃石系アスベストに結合できることが分かったが、一方で非アスベスト繊維であるチタン酸カリウムウイスカー(以下PT1)に結合するようになり特異性が悪くなることが分かった。そこで、本年度はアスベスト結合ペプチドの特異性についてアミノ酸変異解析とNMRによる立体構造解析を行なった。まずアミノ酸の変異解析から16個のアミノ酸からなるペプチド(LLNSLAAVKSGTKAKR)に限定した場合は、PT1には結合せず特異性が保たれていることが分かった。疎水性アミノ酸であるロイシン(L)をグリシン(G)に置換したGGNSGAAVKSGTKAKARのペプチドを作製し、結合性を調べたところ、このペプチドはPT1に結合し特異性が悪くなった。以上のことから、疎水性アミノ酸のロイシンが特異性に関与していると考えられた。次にこれらのペプチドのNMR立体構造解析を行なうことにした。まず、ペプチド(KSGTKAKR)についてNMR解析を行なった。このペプチドをリン酸緩衝液(20mM, H2O:D2O=95:5)に溶解し、TOCSY解析によりアミノ酸の帰属を行なった。さらに、NOESYを用いた立体構造解析を行なったが、立体構造解析に必要な残基間NOEのシグナルを得る事はできなかった。この結果からKSGTKAKRは特定の立体構造を持たない可能性が考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
アスベスト結合タンパク質のアスベスト結合領域と結合に関与する重要なアミノ酸が分かってきた。NMRによる構造解析を行うペプチドが絞れてきたことは重要な結果である。
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Strategy for Future Research Activity |
ペプチドが無機物質の表面を認識するメカニズムにはまだまだ分からないことが多い。二次元NMR法により、アスベスト結合ペプチドの構造と結合機構を決定し、認識のメカニズムを考察する。アスベスト結合ペプチドの各アミノ酸をアラニンで置換し、アスベストに対する結合力を測定する。
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