2014 Fiscal Year Annual Research Report
EFD/CFD/RT融合による非線形飛行力学の跳躍的発展
Project/Area Number |
25249121
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
浅井 圭介 東北大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (40358669)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
姜 欣 東北大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (30451537)
上野 誠也 横浜国立大学, 環境情報研究科(研究院), 教授 (60203460)
大林 茂 東北大学, 流体科学研究所, 教授 (80183028)
下山 幸治 東北大学, 流体科学研究所, 准教授 (80447185)
沼田 大樹 東北大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (20551534)
|
Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
|
Keywords | 飛行力学 / 非定常空気力学 / 磁力支持天秤 / ロボットマニピュレータ / 光学計測 / データ同化 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,非線形領域における航空機の動安定性を評価するための新しい飛行シミュレーション技術を構築に向けて,EFD(風洞実験)とCFD(計算流力)とRT(ロボット技術)の専門家が協力して,これらの分野を融合した新概念の実験技術を開発することを目的としている.具体的には「ロボットマニピュレータ」や「磁力支持装置」(MSBS)などの動的マニピュレーション技術とこれらをClosed Loop で制御し仮想的な自由飛行状態を作り出す「ハイブリッドシミュレーション」技術の開発と非線形空気力の数理的モデルの同定を可能にする「計測融合シミュレーション」手法の開発を目指している.初年度はハイブリッドシミュレーションを用いた動安定実験に注力し,専用の制御プログラムの開発,サーボ遅れ補償のための制御アルゴリズム,磁力支持装置のセンサ部(光学カメラ),パワーアンプ部,制御システムの構築などに取り組んだ.計測融合シミュレーションについては,矩形翼まわりの非定常流を計算するCFDプログラムを開発し,ポイントセンサによる計測値とCFD 計算と同化させるための準備を整えた.また2年度はハイブリッドシミュレーションを用いた多自由度の動安定実験に取り組んだ.また,ロボット・マニピュレータを用いた実験と並行して磁力支持装置とその制御システムの構築に取り組み,昨年度達成できなかった模型の定常浮揚に初めて成功した.さらに,最大で10Hzの周波数で模型を加振することにも成功した.計測融合シミュレーションについては,矩形翼まわりの非定常流を計算するCFDプログラムを開発し,ポイントセンサによる計測値とCFD 計算と同化に取り組んだ.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ハイブリッドシミュレーションによる動的風洞実験については,1自由度のロール運動については,センサやアクチュエータの遅れを完全には補償できなかったものの現象はほぼ把握できた.多自由度運動に拡張するには天秤の精度や干渉成分が大きく影響し,現在のセットアップでは正しいシミュレーションが行えないことが明らかになった.また,1つの可能性として時分割で運動を接続することが可能か評価したが,連続した場合とはデータが一致しないことがわかった.ハイブリッドシミュレーションには時間遅れや空気力抽出など解決しなければならない多くの課題があり,予想以上に困難というのが素直な感想である.ロボット・マニピュレータと並行して進めてきた「磁力支持装置」の開発には大きな進展があった.昨年度問題となった制御系の不具合を特定し回路の改造に取り組んだことによって,模型の定常浮揚に初めて成功した.さらに,最大で10Hzの周波数で模型を加振することにも成功し,初めての空中浮揚に成功した.加振実験の方も順調であり,振幅1度と2度で最大で10Hzでの模型振動を実現することができた.ただ,非定常空気力の測定値にヨークの存在や磁石に生じる渦電流が影響している可能性が判明し,より慎重な評価が求められることがわかった.計測融合シミュレーションについては,矩形翼まわりの非定常流を計算するCFDプログラムを開発し,ポイントセンサによる計測値とCFD 計算と同化を試みたが,大規模剥離流れをポイントセンサで補償することには限界があることがわかった.今後は蛍光油膜法で計測した表面せん断応力分布の2次元計測画像を利用して,融合シミュレーションを行う予定である.
|
Strategy for Future Research Activity |
ハイブリッドシミュレーションについては,サーボ遅れの補償手法など1自由度のロール運動で得られた成果を論文にまとめる.多自由度運動への発展については,現在のハードウエアでやれることの限界や技術的な問題点を整理し装置の改良に向けた提言を残したいと考えている.一方,順調に進んでいる磁力支持天秤については,風洞気流内での浮上模型の非定常実験を早期に実施すると同時に,ロール方向の運動を制御するパワーアンプシステムを新たに導入し,6自由度の運動が行える制御システムを構築する.また,センサ系と電源系の周波数・振幅の限界領域を系統的に調査し,すべての軸周りでの加振特性を把握する.また,積層鋼板を用いた新しいコイル系を製作を検討し,加振周波数帯の拡張を目指す.計測融合シミュレーションについては,3次元翼の失速現象に着目し,実験とCFD計算とのデータ同化による剥離流れ場のシミュレーションの可能性を調べる.
|