2013 Fiscal Year Annual Research Report
色格子背景指向シュリーレン(CGBOS)法による非定常超音速流の定量CT密度計測
Project/Area Number |
25249122
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
前野 一夫 千葉大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (30133606)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
太田 匡則 千葉大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (60436342)
武居 昌宏 千葉大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (90277385)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 衝撃波 / 非定常超音速流 / BOS / 定量シュリーレン画像計測 / 密度勾配画像計測 / 4次元密度勾配場計測 / 高速度カメラ / CT |
Research Abstract |
本研究では、申請者独自の色格子背景指向シュリーレン(CGBOS)法の研究成果を踏まえて、JAXA-ISASと共同研究でISAS超音速風洞を用いた非対称模型や物体噴流干渉実験に対して、テレセントリック光学系を用いた焦点深度の深い模型・背景画像による定量的BOS-CT法を確立する実権を行った。まず、非対称模型および軸対象標準物体からのサイドジェット実験に関して、充分な画像分解能を有するCGBOS計測法のテレセントリック光学系実験を行いCT再構成を含む定量画像計測手法確立に成功した。また同時に高精細の高速度カメラを導入し、非定常衝撃波および噴流を含む超音速流れに適用して、時間軸+3次元CT再構成による4次元定量密度場計測を試みた。当初予定した超高速度カメラの開発の遅延などにより、実際に購入したシステムは2種類の画像精度と撮影速度の高速度カメラの組み合わせとなったため、JAXA超音速風洞による噴流実験では色格子によるCGBOSーCT法、衝撃風洞を用いた非定常噴出衝撃波実験では高精細レーザー干渉CT法により4次元LICT法を確立する実験を行った。その結果、ISAS風洞によおる実験では非定常噴流とマッハ2の超音速流れとの非定常干渉の様子が定量的に解明され、衝撃風洞を用いた4D-LICT法では複数の噴出衝撃波と噴流の干渉流れの時間軸+3次元的特性が定量的に解明された。現在、さらに投影角度を細かくした実験の解析を実施している。また、非定常衝撃波伝播と噴流干渉の4次元さらに研究室所有の高速WSを用いて4次元衝撃波高速流に対するCFD解析を行って、実験結果と数値解析結果の4次元的比較を試み、有意義な研究成果を得ることができた。これらの結果は雑誌論文と国際学会発表などで申請者らにより公表された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初研究目的である高精細の超高速度カメラを用いたCGBOS計測については、高精細高速度カメラで世界での開発トップランナーであったメーカーと技術打ち合わせを行って研究動向と本申請研究内容を検討していたが、当該英国メーカーの開発の遅れから、目指していたフレーム速度と高精細の両立が難しいことが伝えられた。従って、申請予算内で購入(入札)した結果、フレーム速度が当初のスペックに及ばないが高精細の高速度カメラと、フレーム速度は十分にあるが撮影機構が異なり、撮影画像に歪みが生じることと超高速度のため画像が暗くなる面で工夫が必要なカメラとの2つから構成される高精細高速度カメラシステムを導入する結果となった。超音速風洞を用いた噴流・超音速流れの干渉問題については前者のカメラで十分研究対応ができることが、今年度の研究で判明したが、非定常の噴出衝撃波・渦干渉流れの4次元計測については、計測実験の結果、撮影された画像が暗く、BOSパターンや干渉縞の画像解析がそのままでは進みにくいことが判明した。以上の結果は今年度当初の研究目的を満たすものであるが、さらに精度を向上させた十分な実験結果を得るためには、実験の基本データをさらに追加して検討しなければならないことも明らかになった。超高速度カメラの画像の歪みはソフト的に修正可能であることがわかったが、画像の暗さによる画像格子等の認識エラーに関しては、試験気体を変更して、衝撃波速度が遅い流体中で実験データを取得することが必要になることが判明した。また、背景画像に対する光源の光照射強度についての検討も必要である。 3次元、4次元衝撃波・超音速干渉流れに対する画像再構成手法に関しては、これまで開発した手法が有効であることが解明され十分な達成度を得た。数値解析結果との詳細な比較は次年度の主な研究目的となる。
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Strategy for Future Research Activity |
上記達成度の欄でも記したように、超音速風洞を用いたマッハ2-3の流れと噴流の3次元/4次元計測に関してはCGBOS計測が順調に遂行されることが判明したので、今後もJAXA-ISAS超音速風洞と千葉大学所有の衝撃風洞を用いて精細なCGBOS-CT計測を遂行し、数値解析結果との比較も加えて研究解明をめざす。一方、超高速度カメラによる非定常噴出衝撃波/渦干渉流れ場の4次元CT計測に関しては、機材の特性限界に伴う画像の明るさ不足に対して、照射光量の増加や撮影露光時間の調整、あるいはソフト面での工夫を行い、十分なCT実験の結果を得る必要がある。特に衝撃波速度が1mm/μsec(空気中で衝撃波マッハ数3程度)を超える高速現象では、300万コマ/秒以上で0.5mm以下の背景パターンの歪みを密度勾配情報の積分値として捉えることが必要であり、試気体に分子量の大きな気体を用いて、音速を下げ同時に密度変化を強調する実験計測も試みるものとする。コントラストに優れた明るい画像が得られれば、画像歪みの補正とCT再構成は可能で、時間発展経過に伴う時間軸+3次元密度勾配場の実験的解明に対して十分な結果が得られる。 また、数値解析に関しては、既に高性能のWSが導入され、市販流体解析ソフトウェアの充実が著しいので、圧縮性流体解析プログラムの独自開発に時間をかけるよりは、市販ソフトウェアによる比較計算を進め、実験計測に注力し、数値解析結果との比較に耐えうる精密な密度(および密度勾配)場の4次元CT実験データを取得することに研究の主力をおくものとする。CGBOS法による時間軸+3次元CT計測が本研究の主課題であるが、同じ画像計測法と再構成手法の適用可能なレーザー干渉CT法に関しても有意義な結果を得ることになるので、是非実験計測を進めて、両結果において世界のトップランナーとしての研究結果を得たいと考えている。
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