2014 Fiscal Year Annual Research Report
ランキンパネル法の高度化による実海域船舶耐航性能計算システムの構築と実用化
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25249127
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
柏木 正 大阪大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (00161026)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岩下 英嗣 広島大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (60223393)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 船舶耐航性能 / ランキンパネル法 / 波浪中抵抗増加 / 非定常波形 / 流体構造連成解析 / 非線形計算 |
Outline of Annual Research Achievements |
1.ランキンパネル法による船舶耐航性能計算プログラムの開発・改良: 昨年度に引き続き,高次要素ランキンパネル法による計算プログラムの開発を行った。境界条件を満たす点とパネル内の積分点が離れている場合には解析的な処理よりも数値積分を行う方が効率的であることが分かった。また前進速度,動揺周波数が低い場合,外側の計算境界面から波の反射が起こり,妥当な計算結果が得られない問題を解決するために,漸近展開式に基づく解析的な放射条件を数値的に実現させる手法について種々検討した。従来手法より格段に良い結果が得られることを確認したが,更に検討の余地がある。
2.船舶耐航性評価に必要な多項目同時計測水槽実験: これまでに製作したバルク船型とコンテナ船型を使い,バラスト(浅喫水)状態並びに低速状態で,自由表面上での非定常波形,船側波形,船首近傍並びに船尾近傍での船体表面圧力,船体運動,抵抗増加の多項目同時計測を正面規則波中で実施した。実験は大阪大学・広島大学の共同で行った。対応する数値計算を細長船理論(EUT),ランキンパネル法によって行って比較検討し,抵抗増加のピーク値にも実験と計算で差があり,運動振幅・位相の少しの違いによって変化することを確認した。
3.ランキンパネル法を用いた流体・構造連成解析法に関する研究: 船舶流力弾性問題の解析手法の妥当性を検証するために,論文として公表されている浮体の弾性変形に関する実験値との比較を行い,弾性変形に伴う復原力を正確に行い,適度な構造減衰力の導入を行うことによって良い一致が得られることが分かった。それにより,ランキンパネル法を用いた流体・構造連成問題に対する数値計算手法を信頼性あるものに出来た。またランキンパネル法を用いた時間領域での弱非線形計算法についても継続して研究を行い,一般船型に対しても静止水面上の幾何学的非線形影響を考慮できるようになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
多項目同時計測の水槽実験は予定通り行われた。またランキンパネル法を流体・構造連成問題に適用することは,実験結果との比較による検証を含めて予定通り行われた。時間領域での弱非線形問題へのランキンパネル法の適用も行われているが,波浪荷重など非線形性が強く現れる項目の計算・検証は今後の課題である。
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Strategy for Future Research Activity |
多項目同時計測実験は問題なく予定通り行うことができるので,高次境界要素法に基づく数値計算プログラムの改良・更なる検証,特に低速域でも適用できる波の放射条件を精度良く数値的に満たす手法の開発に重点的に取り組む。また時間領域弱非線形問題に関する研究も研究協力者・連携研究者の協力を得て行う予定である。
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