2014 Fiscal Year Annual Research Report
ウイルスベクターシステムを駆使した線条体入力系の構造─機能連関の解明
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25250003
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
高田 昌彦 京都大学, 霊長類研究所, 教授 (00236233)
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Project Period (FY) |
2013-10-21 – 2016-03-31
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Keywords | 神経回路 / 大脳基底核 / 線条体 / ウイルスベクター / 霊長類 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、さまざまなウイルスベクターを利用した先端的神経ネットワーク解析システムを確立し、それらを駆使して、霊長類の大脳基底核を巡る神経ネットワークの構造と機能を明らかにすることを目的としている。平成26年度は、まず「高発現型multi-color狂犬病ウイルスベクターを用いた前頭葉皮質への多シナプス性出力様式と皮質―線条体入力様式に基づく線条体の機能マッピング」において、前年度に開発した4種類の蛍光蛋白質をそれぞれ発現する狂犬病ウイルスベクターを、単一サル個体の異なる前頭前野領域に注入し、二次および三次ニューロンとして各蛍光蛋白質でラベルされた淡蒼球内節・黒質網様部ニューロンあるいは線条体ニューロンの分布、および複数の蛍光蛋白質で多重ラベルされたニューロンの分布を解析するとともに、アデノ随伴ウイルスベクターによる皮質領域からの順行性トレーシングを併用して、線条体への入力と線条体からの出力の局在関係を解析し、大脳皮質─大脳基底核ループ回路の基本的構築を明らかにする研究計画を進めている。また、「線条体の特定の部位に入力するニューロンの入出力解析法の確立」では、前年度に改良したマーカー蛋白質のリーク発現を低減した逆行性感染型レンチウイルスベクター(改変テトラサイクリン応答配列の下流にFLEX配列に挟まれた逆位の膜局在型蛍光蛋白質(pal-XFP1)遺伝子とシナプシンプロモータの下流にタグ遺伝子の2つの配列を組み込んだもの)を線条体に、Creリコンビナーゼ等の部位特異的組換え酵素と、flagタグを付加した改変テトラサイクリンアクチベータを発現するアデノ随伴ウイルスベクターを黒質に注入したモデルザルを作製し、線条体に投射する黒質ニューロンで2種類のベクターの多重感染が成立し、pal-XFPの発現が誘導され軸索が可視化されることを確認する研究計画を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
「高発現型multi-color狂犬病ウイルスベクターを用いた前頭葉皮質への多シナプス性出力様式と皮質―線条体入力様式に基づく線条体の機能マッピング」については、平成26年度の研究実施計画に記載したように、異なる前頭前野領域に注入した4種類の狂犬病ウイルスベクターで二次および三次ニューロンとして単一あるいは複数の蛍光蛋白質でラベルされた大脳基底核ニューロンの分布を解析するとともに、アデノ随伴ウイルスベクターによる皮質領域からの順行性トレーシングを併用して、線条体への入力と線条体からの出力の局在関係を解析する研究計画が進行中である。また、4種類の蛍光タンパク質を発現する改変型狂犬病ウイルスベクターを利用した前頭葉皮質からの多重逆行性越シナプス的トレーシングに成功し、現在、大脳基底核各領域におけるラベルされたニューロンの分布様式を解析中である。同様に、「線条体の特定の部位に入力するニューロンの入出力解析法の確立」についても、開発・改良に成功した2種類ウイルスベクターを用いて、線条体に投射する黒質ニューロンでベクターの多重感染が成立し、pal-XFPの発現が誘導され軸索が可視化されることを確認しており、全体として研究が順調に進展していると考えられるため。
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Strategy for Future Research Activity |
研究計画は当初の予定どおり順調に進展しているので、平成27年度(最終年度)は以下の3つの研究計画を進める。 (1)前年度から進めてきた「高発現型multi-color狂犬病ウイルスベクターを用いた前頭葉皮質への多シナプス性出力様式と皮質―線条体入力様式に基づく線条体の機能マッピング」および「線条体の特定の部位に入力するニューロンの入出力解析法の確立」に関する研究計画を継続する。 (2)「線条体の特定の部位に入力するニューロンの入出力解析法の確立」に関する研究計画を達成後、そこで開発した入出力解析法を用いて、「線条体の特定の部位に入力する視床および黒質のニューロン群の入出力解析」に着手する。具体的には、2種類の逆行性感染型レンチウイルスベクター(異なるpalXFPとTVAあるいはTVBをコード)をそれぞれ線条体の異なる部位に、アデノ随伴ウイルスベクターを視床(髄板内核など)や黒質に注入し、EnvAあるいはEnvBでシュードタイプされた2種類の感染伝播能欠失(G遺伝子欠損)型狂犬病ウイルスベクターをアデノ随伴ウイルスベクターと同じ領域に注入することにより、線条体の注入部位に投射するニューロン群においてベクターの多重感染を成立させ、TRE-XFPによる軸索の強力な可視化と、EnvA-TVAあるいはEnvB-TVBの結合による選択的感染を介する狂犬病ウイルスベクターの単シナプス的逆行性感染伝播をとおして、その入出力を同定する。 (3)(2)と同様、「線条体の特定の部位に入力するニューロンの入出力解析法の確立」に関する研究計画を達成後、そこで改良したTet-On発現制御法を用いて、「視床、黒質、前頭葉皮質から線条体の特定の部位に入力する神経路に対する機能介入」についても併せて検討する。
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[Presentation] In vivo PET imaging of the behaviorally active designer receptor in macaque monkeys.2014
Author(s)
Nagai Y, Kikuchi E, W. Lerchner, Inoue K, Oh-nishi A, Kaneko H, Kato Y, Hori Y, B. Ji, Kumata K, M. Zhang , Aoki I, Suhara T, Takada M, Higuchi M, B. J. Richmond, Minamimoto T
Organizer
第44回北米神経学会大会(SFN)
Place of Presentation
ワシントンDC,USA
Year and Date
2014-11-17 – 2014-11-17
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