2014 Fiscal Year Annual Research Report
DOCKファミリー分子の生体機能と動作原理の統合的理解
Project/Area Number |
25251015
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
福井 宣規 九州大学, 生体防御医学研究所, 教授 (60243961)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宇留野 武人 九州大学, 生体防御医学研究所, 准教授 (80532093)
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Project Period (FY) |
2013-05-31 – 2016-03-31
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Keywords | シグナル伝達 / 遺伝子改変マウス / がん / 免疫 / 低分子量Gタンパク質 |
Outline of Annual Research Achievements |
DOCKファミリー分子は、DHR-2ドメインを介して低分子量Gタンパク質を活性化する新しいタイプのグアニンヌクレオチド交換因子であり、細胞運動を初め種々の細胞高次機能を制御するが、自身の活性化機構も含め、その作用機序の詳細は不明である。本研究では、器官形成や免疫応答、がん細胞の浸潤・転移におけるこれら分子の機能と作用機序を解明することを目的に、以下のような成果を得た。
(1) DOCK5欠損マウスがアナフィラキシーショックに抵抗性を示す事を見いだし、そのメカニズムの解析を進めた。その結果、DOCK5がNck2やAktといった分子と会合することでシグナル伝達のハブとして機能し、GSK3βのリン酸化を制御することで、マスト細胞の脱顆粒反応をコントロールしていること明らかにした。(2) fMLFおよびPMA刺激により誘導されるRac活性化が、DOCK2とDOCK5の両者を欠損する好中球において消失し、遊走や活性酸素の産生、neutrophil extracellular trap (NET)の形成が顕著に障害されることを明らかにした。(3) ELMOとの会合に重要なDOCK2の128位のアルギニン酸をアラニンに置換した変異体 を発現するノックインマウスを作製し、その機能解析を行った。また、ケモカイン刺激に伴い、DOCK2が部位特異的にリン酸化修飾を受けることを見いだし、その部位に変異を入れたノックインマウスを作製すると共に、リン酸化酵素の同定を進めた。(4) SV40でトランスフォームしたMEFに恒常活性型Rac変異体を発現させ、細胞浸潤を解析できる実験系を構築し、浸潤応答におけるDOCK1やDOCK5欠損の影響を明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
DOCKファミリー分子の作用機序を解明するため、新たに遺伝子改変マウスを作製すると共に、機能発現に重要なドメインを同定した。また、アレルギー反応の制御におけるDOCK5の新しい機能を見いだし、その作用機序の全貌を解明する等、研究は順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
研究は順調に進行しており、今後多くの成果が得られると期待される。次年度は最終年度であることから、さらに積極的に論文発表を行うと共に、重要な成果に関しては、HPやマスメディア等を利用して広く国民に発信したい。
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