2013 Fiscal Year Annual Research Report
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25251032
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
鹿内 利治 京都大学, 理学(系)研究科(研究院), 教授 (70273852)
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Project Period (FY) |
2013-10-21 – 2016-03-31
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Keywords | 葉緑体 / 光合成 / 電子伝達 / NDH / 光化学系 I / 分子進化 / シロイヌナズナ / ゼニゴケ |
Outline of Annual Research Achievements |
ゼニゴケを用いて、葉緑体NDH複合体のサブユニットをコードする核コードのndhM遺伝子のノックアウトを行った。ndhBの破壊の際と同様に、雌性生殖器の形態異常を観察したが、その表現型は、ndhBの破壊より強いものであった。 被子植物のLhca6は、PSIの集光アンテナであるLhca2に類似し、陸上植物の進化の過程で分岐し、NDH-PSI超複合体のリンカーとしての機能を獲得した。Lhca6の機能獲得に必要で充分な領域を決定する目的で、Lhca6とLhca2の一連のキメラタンパク質を発現するコンストラクトを作成し、シロイヌナズナlhca6変異株に導入した。NDH活性をクロロフィル蛍光解析により調べ、またNDHサブユニットのウェスタン解析からNDH複合体の安定性を評価した。LhcIのC末領域がLhca6であることがリンカーとしての機能を持つ為に必要かつ充分であることが明らかになった。 C末領域には、Lhca6に保存されているが、Lhca2や他のLhcIに保存されていない配列が3カ所ある。2カ所はストロマ側に、残りの1カ所はルーメン側に存在する。そこでさらにキメラタンパク質による解析を詳細に行い、ストロマ側に突出した領域がLhca6であることが、リンカーとしての機能を持つことに必要で充分であることを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ほぼ計画通り研究を行ったが、Lhca6の機能に必要な領域は、当初の予測と異なったため、さらにキメラタンパク質を発現するコンストラクトを増やす必要があった。lhca6変異株はNDH複合体に直接異常を示さず、超複合体形成を介してNDHの安定性に影響を与えるため、Lhca6の機能の相補を判定するのが、やや煩雑であった。しかしながら、多くの形質転換体を定量的に解析することで、その問題を克服することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
Lhca6の機能に必要な領域をさらに絞り込み、アミノ酸配列のレベルでLhca6の機能を考察する。またLhca6の機能評価について、NDH活性やNDHサブユニットの蓄積量の評価は間接的であるため、BN― PAGEにより超複合体形成を直接評価する。またHAタグを用いたウェスタン解析によりキメラタンパク質の安定性を評価し、その影響を結論に反映させる。
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Research Products
(8 results)