2013 Fiscal Year Annual Research Report
真核細胞・共生バクテリアの分裂同調化による光合成オルガネラ成立機構の解明
Project/Area Number |
25251039
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (A)
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Research Institution | National Institute of Genetics |
Principal Investigator |
宮城島 進也 国立遺伝学研究所, 新分野創造センター, 特任准教授 (00443036)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 細胞内共生 / 細胞分裂 / 葉緑体 / 光合成 |
Research Abstract |
葉緑体は、シアノバクテリアの細胞内共生体を起源とする。共生細胞が世代を超えて宿主細胞に維持されオルガネラ化した例は他にも多く知られている。これまでに、葉緑体分裂が宿主核コードのタンパク質群によって形成される分裂装置によって引き起こされること、その遺伝子群発現が細胞周期制御を受けることを明らかにしてきた。さらに、宿主染色体の複製・分配の制御機構の一部が葉緑体の分裂・分配に転用されている可能性を見いだしている。本研究では、(1)宿主染色体の複製・分配の制御機構の葉緑体分裂・分配への関与を解明、(2)葉緑体分裂装置の原型をもつ、灰色藻の葉緑体分裂・分配機構の解明、(3)葉緑体とは別起源で、オルガネラ成立の中間段階にあるシアノバクテリア共生体の分裂・分配機構の解明を行い、真核細胞によるバクテリア共生体の分裂制御機構の進化過程の一般原理を解明することを目的とする。 本年度は、葉緑体分裂に関与するダイナミンがS期にリン酸化されることを見いだし、そのリン酸化サイトを同定した。灰色藻の葉緑体分裂におけるペプチドグリカン層加水分解の役割の解析を行い、シアノバクテリア由来の核コードタンパク質DipMがS期特異的に発現、葉緑体分裂面に局在し、葉緑体分裂に関与することを解明した。紅藻、緑藻、車軸藻を用いた比較解析を行い、葉緑体分裂装置の構成因子をコードする遺伝子群はS期に特異的に発現すること、このS期特異的な発現機構は、葉緑体から核ゲノムへの遺伝子転移の後に獲得されたことが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究期間初年度において、灰色藻の葉緑体分裂におけるペプチドグリカン層加水分解の役割を解明し論文発表した。さらに次年度以降の研究進行のために、葉緑体分裂に関与するダイナミンのリン酸化サイトを同定することに成功した。従って、研究は計画通り順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
ダイナミンリン酸化の役割の解析を引き続き進めると共に、ポーリネラのゲノム情報から、共生体分裂に関与する宿主核コード遺伝子群の候補を同定し、その機能解析の準備(抗体作成など)を進める。
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Research Products
(5 results)
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[Journal Article] Translation-independent circadian control of the cell cycle in a unicellular photosynthetic eukaryote2014
Author(s)
Miyagishima, S., Fujiwara, T., Sumiya, N., Hirooka, S., Nakano, A., Kabeya, Y., and Nakamura, M
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Journal Title
Nat. commun.
Volume: 5
Pages: 3807
DOI
Peer Reviewed / Acknowledgement Compliant
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