2013 Fiscal Year Annual Research Report
メタボリックシンドロームから心血管疾患に至る経路を阻害する海洋天然物の探索
Project/Area Number |
25252037
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (A)
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
松永 茂樹 東京大学, 農学生命科学研究科, 教授 (60183951)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
及川 勉 神奈川県立保健福祉大学, 保健福祉学部, 教授 (40120141)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 脂肪細胞 / 分化誘導 / カイメン / 構造決定 / 生理活性物質 |
Research Abstract |
前駆脂肪細胞から脂肪細胞への分化誘導を促進する作用を指標として活性物質の探索を行った。スクリーニングのための試料は、わが国周囲の浅海および深海で採取した海産無脊椎動物の抽出物および海洋環境中から分離した微生物の培養液の抽出物を用いた。スクリーニングにおいて、硫黄島で採取したカイメンXestospongia testudinariaが顕著な活性を示したため、脂肪細胞への分化誘導活性を指標として精製を繰り返し、4つの新規物質を含む16種の活性成分を得た。これらの化合物はいずれも炭素数が16から22の直鎖のカルボン酸で、鎖中に多くの不飽和結合を有していた。構造決定は主に二次元NMRデータの解析により行った。特に、不飽和結合を介した水素原子間の遠隔カップリング、および、HMBCスペクトルによる炭素と水素の間の遠隔カップリングが有効であった。1つの新規化合物はカルボン酸の近傍にテトラヒドロフラン環を有していた。この部分の相対配置はROESYデータから導き、絶対配置は類縁化合物とのCDスペクトルデータの比較により決定した。 これらの化合物の分化誘導活性には、化学構造を反映した違いが認められた。ほとんどすべての化合物が130 μMの濃度で活性を示し、2 μMの濃度で活性を示すものもあったが、脂肪滴の生成を定量化することができなかったため、明瞭な構造活性相関を導くことはできなかった。ただし、カルボン酸とそのメチルエステルが同時に得られた化合物において、カルボン酸が顕著な活性を示したのに対して、メチルエステルに活性が認められなかったため、遊離のカルボン酸が活性の発現に必要であることが判明した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
新規化合物を含む活性物質を発見し、それらの構造決定を行うことができた。しかし、当初計画した試験系の導入ができていない。
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Strategy for Future Research Activity |
分化誘導活性を調べるために長時間かかることが研究の効率を下げている。迅速なアッセイ系の導入および活性成分の効率的な単離・構造決定を実施したい。
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