2014 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
25252038
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
左子 芳彦 京都大学, (連合)農学研究科(研究院), 教授 (60153970)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉田 天士 京都大学, (連合)農学研究科(研究院), 准教授 (80305490)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 一酸化炭素 / ゲノム解析 / メタゲノム / 海洋微生物 / COデヒドロゲナーゼ |
Outline of Annual Research Achievements |
一酸化炭素資化菌は、環境中の一酸化炭素(CO)をCOデヒドロゲナーゼ(CODH)により除去し水素を生成することから環境の代謝活性を促進する‘潤滑油’として機能すると考えられる。そこで本菌の特性を分子生物学的手法により総合的に理解し、C1化学への展開に向けた持続的低炭素社会の基盤を構築することを目的とする。本年度の研究成果は、以下の通りである。 1)昨年度に得たCalderihabitans maritimus KKC1株のドラフトゲノム解析を詳細に行った。ゲノム全体の類似度比較解析により、本菌は近縁種であるMoorella属細菌の始原的なCO代謝系を有し、TCA回路とCODHを共役させて炭酸を同化する全く新規な代謝を有すると推察された。また、伊豆温泉土壌集積培養系よりゲノム解読例のないCarboxydothella属細菌のドラフトゲノムを構築することに成功した。 2)昨年度に得たCarboxydothermus pertinax Ug1株のドラフトゲノム情報に基づき、CO資化条件下で培養した本菌から全RNAを抽出しトランスクリプトーム解析に供した。全遺伝子の約30%が、COにより上方あるいは下方制御されており、水素生成と共役する新たなCODH遺伝子クラスターを見出した。 3)16S rRNA遺伝子を標的とした大量並列解析を行い鰻温泉周辺における詳細な菌叢解析を行った。CO資化菌が多く含まれる未分離Firmicutes門細菌の構成比が極めて高く、本サンプリング地点はCOを軸とした代謝系が卓越する極めてユニークな環境であると推察された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
新たにこれまで未報告のCarboxydothella属細菌のドラフトゲノムを得ることに成功した。また、CO資化菌が環境のCOに応答して大規模な転写制御を行っていることを示すとともに、水素生成とCO代謝の共役する新たな代謝系を確認した。さらに、CO資化菌が卓越する環境を推定できたことなど大きく前進したため、上記の判断に至った。
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Strategy for Future Research Activity |
メタボローム解析により、トランスクリプトーム解析で予測されたCO代謝系の経路の全容解明を試みる。環境のメタゲノム解析から得られるデータを統合し、COから水素へ至るCOを軸とする環境代謝マップの全容を解明する。
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Research Products
(8 results)