2014 Fiscal Year Annual Research Report
天然安定同位体比利用による気候帯別水田からの温室効果ガス発生軽減管理法の開発
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25252044
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Research Institution | Meiji University |
Principal Investigator |
登尾 浩助 明治大学, 農学部, 教授 (60311544)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
溝口 勝 東京大学, 農学生命科学研究科, 教授 (00181917)
村上 周一郎 明治大学, 農学部, 准教授 (00243329)
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Project Period (FY) |
2013-10-21 – 2018-03-31
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Keywords | 安定同位体比 / 温室効果ガス / 水田土壌 / チャンバー法 / メタン / 二酸化炭素 / イネ / 通気組織 |
Outline of Annual Research Achievements |
タイ国カセサート大学構内の水田において天然炭素安定同位体比を使ったCH4, CO2発生に関するチャンバー実験を行った。イネの通気組織を通して土壌中から大気へ放出されるCH4, CO2と株間において水面と水面下土壌から泡となって大気へ放出されるCH4, CO2フラックスを測定した。府中本町の農工大水田では、CH4, CO2フラックスと自動データ回収型湛水計を開発して湛水深を連続的に測定した。明治大学生田校舎のライシメータでは間断灌漑によるCH4, CO2, N2O放出への影響と水管理に伴って変化するメタン生成菌の消長を調査した。水田からの温室効果ガス発生量を把握するために、福島県飯舘村の水田にフィールドモニタリングシス テムを導入した。その水田でイネの栽培試験をして、栽培過程における CO2フラックスを遠隔で測定で きるようにした。 土壌中のCH4, CO2濃度とd13Cの測定から、イネ通気組織を通して大気中へ放出されるCH4は比較的浅い所で生成されていること、株間では水面からの拡散ではなく比較的浅い土壌から泡として放出されるCH4, CO2が大きいことがわかった。この泡は、大気圧が下がる時間に多く発生し、泡には高濃度のCH4ばかりでなく、高濃度のCO2が含まれる場合があることがわかった。また、通気組織を通してイネ根に供給されるO2によって、15cm深度ではCH4が酸化されてCO2が生成されていることがわかった。 PCR法によって16S rRNA遺伝子を解析したところ、唯一、嫌気性メタン資化性として報告されているCa. Methylomirabilis oxyferaは棲息しておらず、Proteobacteria門に属する種々の好気性細菌が増殖していることが明らかになった。嫌気条件下においてメタン酸化が行われていることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
タイ国水田において炭素安定同位体比を使ったCH4, CO2測定でCH4, CO2の生成経路を明らにした。また、株間からのCH4, CO2放出が気圧の低下に誘引されていることも明らかにした。これらのことは、屋外の水田においてははじめて明らかにされたことである。メタン生成菌の同定には至っていないが、熱帯タイ国水田と温帯日本国水田では、菌層が異なっていることがわかった。また、水田からの温室効果ガス発生量を把握するために、福島県飯舘村の水田にフィールドモニタリングシス テムを導入した。その水田でイネの栽培試験をして、栽培過程における CO2フラックスを遠隔で測定で きるようにした。一方で、広域水田における土壌因子測定装置は水深計については完成したが、他の因子測定装置は未だに完成していない。
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Strategy for Future Research Activity |
温帯日本国の水田において、熱帯水田で行ったと同様(チャンバー法と土中ガス採取)の測定を行い、メタンガス生成経路とメタン生成菌の同定および熱帯で見られた気圧低下に誘引されたメタンガス放出が起こるかどうかを調査する。 土壌因子測定装置の開発を継続する。
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Research Products
(6 results)