2016 Fiscal Year Annual Research Report
Analysis of chromosome inner structure by nucleosome tomography using FIB/SEM
Project/Area Number |
25252064
|
Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
福井 希一 鳥取大学, 染色体工学研究センター, 特任教授 (00311770)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高田 英昭 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 生命工学領域, 主任研究員 (20455207)
若生 俊行 国立研究開発法人農業生物資源研究所, その他部局等, 主任研究員 (80373257)
内山 進 大阪大学, 工学研究科, 教授 (90335381)
近江戸 伸子 神戸大学, 人間発達環境学研究科, 教授 (30343263)
|
Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2018-03-31
|
Keywords | 染色体 / 染色体軸 / ナノテクノロジー / マイクロテクノロジー / 構造解析 / 構造化照明顕微鏡 / FIB/SEM / クロマチン線維 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は細胞分裂中期に細胞内に出現する染色体の内部構造を従来に無い方法を開発しつつ明らかにしようとするものである。染色体自体は19世紀半ばに発見された細胞内小器官であり、遺伝子の担体として極めて重要な役割を有しているが、その内部構造に関しては多くの研究がなされてきたにも拘らず、現在もなお不明である。 本研究ではFIB/SEM(収束イオンビーム/走査電子顕微鏡法)など、最近著しい発展がみられるナノテクノロジーを生物試料用に新しい試料作製法などを自ら開発しつつ適用し、3世紀に渡る長期間不明であった染色体の内部構造に関しての知見を得ることを目的とした。 ここでは染色体を構築する上での2つの重要な構造体である、DNAを主軸とするクロマチン線維とタンパク質からなる染色体軸のうち、後者について通常の光学顕微鏡の解像度の限界を超える構造化照明顕微鏡法を用いてここ数年にわたる解析を行ってきた。そのため、蛍光色素と金ナノ粒子により2重標識した抗体を用いてヒト染色体軸を染色し、その構造について光学顕微鏡の解像度を超えた高精細画像を獲得し、それぞれの染色分体の中心部にある染色体軸の構造について詳細に検討した。その結果、染色体軸は従来から言われていたように一本の軸からなるのではなく、2本のタンパク質の軸が相互にらせん状に絡まりあった構造をしていることが明らかにした。この点をさらにFIB/SEMを用いた染色体の断面像の解析により検討したところ、それぞれの染色分体の中心部に2か所のタンパク質のシグナルを見出したことから2本の軸からなるという構造化照明顕微鏡法での結果が正しいものと裏付けられた。 この染色体軸構造は染色体の剛性と柔軟性を保つ上で理論的な考察に合致する必須の構造であり、染色体の内部構造を明らかにする上で大きな成果が得られたと言える。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
結果の所で述べたように、染色体構造について最も重要なクロマチン線維の折り畳み方式と染色体軸の詳細構造の2つの構造体の内、後者について構造化照明顕微鏡法およびFIB/SEM法を用いて詳細に検討してきた結果、染色体軸の基本的構造は互いに絡み合ったタンパク質の2本鎖であることを証明するとともにこの結果を補強するデーターを収集してきた。本結果は染色体研究の長い歴史の上でも極めて重要な成果と言え、その成果は既にScientific Reportsに受理されている。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後はさらに詳細に染色体の軸構造を、解析方法を更に高感度のものに改良することを検討しつつ、明らかにする。同時に染色体内部のクロマチン線維の折り畳み構造についても先ず、クロマチン線維そのものの直径など基本的な構造を明らかにしたうえで、検討を進める。その上でクロマチン線維と染色体軸との相互作用について最終的に明らかにする。
|