2013 Fiscal Year Annual Research Report
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25253032
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (A)
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
三宅 健介 東京大学, 医科学研究所, 教授 (60229812)
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Project Period (FY) |
2013-10-21 – 2016-03-31
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Keywords | Toll様受容体 |
Research Abstract |
樹状細胞などの免疫細胞では複数のToll様受容体が発現し、互いに相乗的に、あるいは拮抗的に作用しあう。複数のTLRが如何に制御されているのか、まだ明らかではない。本研究では、TLR制御の分子基盤として、TLRロジスティックス(免疫細胞はTLRの物流を制御することで、その活性を制御している)という概念を提案する。具体的には、Unc93B1という分子に焦点を絞る。Unc93B1は、核酸認識TLR(TLR3/7/8/9)に会合し、それらの輸送、局在を一手に制御する分子である。Unc93B1が複数の核酸特異的TLRの細胞内局在を制御している分子基盤を解明し、応答性との関係を解析することで、TLRロジスティックスの分子基盤の一端を解明する。本年度は、以下の進展があった。 1.TLR9の細胞表面での発現 マウスTLR9に対する抗体を確立した。その抗体を用いて、細胞表面のTLR9の発現を調べたところ、樹状細胞において発現が検出された。TLR9はこれまで、細胞内のエンドリソソームでDNAを認識していると考えられてきたが、それを覆す結果となった。この細胞表面へのTLR9の発現は、Unc93B1の機能欠損マウスでは認められないことから、Unc93B1が細胞表面への発現にも関わっていることが明らかとなった。 2.TLR5の細胞表面への発現におけるUnc93B1の役割 マウスTLR5についても、モノクローナル抗体の作成に成功している。この抗体を用いて、TLR5の細胞表面での発現を調べたところ、好中球などの細胞において検出された。さらに、TLR5の細胞表面への発現も、TLR9と同様にUnc93B1に依存していた。TLR5応答も、Unc93B1の機能欠損マウスにおいて欠失していた。従って、TLR5も核酸特異的TLRと同様にUnc93B1によってその局在と機能が制御されていることが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初、Unc93B1に会合する分子として同定したArl8bについての解析を進める予定であった。実際に、その解析を中心に進めているが、当初予定したよりは、Arl8bのノックアウトマウスの解析が時間を要することが明らかになった。というのも、樹状細胞の種類によって、TLR7,TLR9の応答が増強したり、低下したりしているからである。従って、Arl8bの機能は単純ではなく、複数の機序でTLRの応答に影響を及ぼしている可能性が考えられる。さらに、Arl8bがTLRの細胞内局在ばかりでなく、TLRのシグナル伝達や、タンパクとしてのターンオーバーにも関与する可能性が出始めており、それについての解析を進める必要が出てきた。従って、当初の予定に比べて、進んでいないわけではなく、広がりつつあり、まとめるまでに少し時間がかかることが明らかになった。 一方、当初、予定はしていなかったが、TLRに対する抗体の確立によって、内因性のTLRの発現、局在を調べることが可能となり、新たな展開も開けてきた。TLR9はこれまで細胞内に局在していると考えられてきたが、細胞表面にも発現している事を、抗体を確立することで、報告することができた。またTLR5に対する抗体を作成することで、TLR5がUnc93B1によって、局在と機能が制御されていることも明らかとなった。これらの結果は、いずれも、これまでの報告とは異なる結果であり、大きなインパクトを持った仕事であると自負している。当初の予定とは異なるが、新たな展開として、今後も展開させていく予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
Unc93B1に会合する分子Arl8bについては、当初の予定に加えて、新たな解析も進めてゆく必要がある。当初は、Arl8bがTLRの局在にどのような役割を果たしているか、明らかにする予定であった。しかしながら、その役割が、局在ばかりでなく、TLRのシグナル伝達経路にも影響する。さらには、TLRのタンパクのターンオーバーにも影響することが明らかになりつつある。そこで、Arl8bKOマウスの解析については、TLRの局在に加えて、シグナル伝達など機能全般について調べてゆく。さらに、樹状細胞、マクロファージ、細胞の種類それぞれについて解析を進める必要がある。またTLRばかりでなく、リガンドである核酸の局在が、Arl8bのKOマウスで異常があるのか、調べてゆくことも重要である。 TLR9の抗体が確立され、それによって、TLR9が細胞表面に発現している事が明らかとなった。今後は細胞表面での発現が、TLR9の応答にどう影響するのか、調べてゆく必要がある。また、細胞表面へのTLR9の発現がどのように制御されているのか、エンドリソソームへの局在とどういう関係にあるのか、重要な点であ李、解析を進める必要がある。我々はすでにTLR7に対する抗体も確立している。TLR9と同様にTLR7も細胞表面に発現しているのかどうか、明らかにする必要がある。さらにTLR5についても、Unc93B1によって局在が制御されている事が明らかになったので、その際にArl8bのようなGタンパクが関わる可能性がある。そこで、そのような分子の検索を進めてゆく。これらの解析を通して、Unc93B1がいかにして、複数のTLRの局在、応答を制御しているのか、その分子基盤を明らかにする。
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Research Products
(2 results)
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[Journal Article] An essential role for the N-terminal fragment of Toll-like receptor 9 in DNA sensing2013
Author(s)
Onji M, Kanno A, Saitoh S, Fukui R, Motoi Y, Shibata T, Matsumoto F, Lamichhane A, Sato S, Kiyono H, Yamamoto K, Miyake K
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Journal Title
Nat. Commun
Volume: 4
Pages: 1949
DOI
Peer Reviewed
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