2013 Fiscal Year Annual Research Report
国際共同研究による間質性肺炎の新規バイオマーカーの開発と創薬の試み
Project/Area Number |
25253057
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (A)
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
河野 修興 広島大学, 大学院医歯薬保健学研究院, 教授 (80215194)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
服部 登 広島大学, 大学院医歯薬保健学研究院, 准教授 (00283169)
石川 暢久 広島大学, 大学院医歯薬保健学研究院, 講師 (90423368)
大下 慎一郎 広島大学, 病院, 助教 (50508132)
岩本 博志 広島大学, 病院, 助教 (60457398)
中島 拓 広島大学, 病院, 助教 (90643792)
粟井 和夫 広島大学, 大学院医歯薬保健学研究院, 教授 (30294573)
横山 彰仁 高知大学, 教育研究部医療学系, 教授 (30191513)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 間質性肺炎 / バイオマーカー / 分子標的治療薬 / マイクロアレイ |
Research Abstract |
(1)マイクロアレイ解析から同定した新規血清バイオマーカー・創薬の候補分子のスクリーニング:マイクアレイ解析で抽出したバイオマーカー候補分子の肺組織における発現を組織免疫染色法により確認した.外科的に採取された肺組織を用いて免疫染色の条件検討を行い、続いて間質性肺炎の肺組織において検討をおこなったところKL-6/MUC1、 DSG3、ROS1のいずれもコントロールの肺組織と比較して発現の亢進を認めた.他の候補分子についても肺組織における発現を確認する予定である. (2)間質性肺炎の新規血清バイオマーカーの開発:血清バイオマーカーの検討については、日本人およびドイツ人の間質性肺炎患者と健常者からなる国際的なコホートを用いて、ELISA法によりKL-6、SP-A、SP-D、MMP7、CCL18の診断能、疾患活動性および予後予測能に関する検討を行った.さらにわれわれがマイクロアレイ解析を基に抽出した新規候補分子であるIL18BP についてもELISA法の条件検討をおこなった.今後は症例数を増やした測定をおこなうことで新規血清バイオマーカーとしての有用性(他疾患との鑑別、予後を含めた病勢把握、治療効果判定、人種的な相異、など)を検討する. (3)間質性肺炎の病態ならびに人種的な相違解明:間質性肺炎の病態と人種的な相違の解明について、昨年度の検討により日本人およびドイツ人間質性肺炎コホートにおける急性増悪の頻度とHRCTによる画像所見について人種差間で差を認める可能性が示唆された.この中間成績について両国の研究者で話し合った結果、更に対象症例を増やして検討をおこなう方針となった.さらに日本人・ドイツ人IPF患者のゲノム解析を開始しており、遺伝子変異と間質性肺炎の疾患感受性、重症度、急性増悪の頻度、予後、HRCT所見の関連について、人種間での相違点も含めて検討をおこなう準備を進めている.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
肺組織での発現、血清バイオマーカー、人種間の差異についての検討は予定通り進行しており動物モデルおよび細胞を用いた実験については分子標的薬使用の準備が整ったことから、研究計画はおおむね順調に進展していると考えている.
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Strategy for Future Research Activity |
(1)マイクロアレイ解析から同定した新規血清バイオマーカー・創薬の候補分子のスクリーニング:肺組織を用いたマイクロアレイ解析により、間質性肺炎で高発現しているバイオマーカーの候補分子を抽出しており、これらの中でとくに膜タンパクおよび分泌タンパクについてはバイオマーカー・抗体薬の標的分子と考え、組織免疫染色とmorphometryを用いた肺組織における発現情報の確認を行っている.今後も候補分子の発現の確認をおこなう予定である. (2)間質性肺炎の新規血清バイオマーカーの開発:日本人および欧州人による国際的な大規模コホートの検体を用いて、新規血清バイオマーカー候補分子が(1)間質性肺炎の診断、(2)急性増悪の予測、ならびに(3)予後の予測に有用か検討を行い、さらに人種間の差異の検討や既存の血清バイオマーカーとの比較をおこなう. (3)動物モデルを用いた呼吸器疾患の新たな治療法の開発:間質性肺炎患者の肺組織において発現が亢進している候補分子のうちいくつかの分子は既存の悪性腫瘍に対する分子標的治療薬により抑制されることが報告されており、分子標的治療薬による線維芽細胞、肺癌細胞における発現阻害実験およびブレオマイシン肺線維症モデルにおける治療効果の実験を予定している.その他のバイオマーカー候補分子に対する特異的siRNAによる同様の実験もおこなう予定である. (4)間質性肺炎の病態ならびに人種的な相違解明:日本および欧州の間質性肺炎患者コホートにおいて重症化するサブセット、急性増悪の頻度、予後と新規のバイオマーカー候補分子の血清マーカー値、CT画像所見、遺伝子多型を含めた臨床病理学的因子の検討をおこなっていく方針である.今後も国内外の研究者と共同して、間質性肺炎の症例の集積および症例の追跡を継続的におこなう計画である.
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Research Products
(12 results)
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[Journal Article] SK-216, an inhibitor of plasminogen activator inhibitor-1, limits tumor progression and angiogenesis.2013
Author(s)
Masuda T, Hattori N, Senoo T, Akita S, Ishikawa N, Fujitaka K, Haruta Y, Murai H, Kohno N.
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Journal Title
Mol Cancer Ther
Volume: 12
Pages: 2378-2388
DOI
Peer Reviewed
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[Journal Article] Characteristics of inspiratory and expiratory reactance in interstitial lung disease.2013
Author(s)
Sugiyama A, Hattori N, Haruta Y, Nakamura I, Nakagawa M, Miyamoto S, Onari Y, Iwamoto H, Ishikawa N, Fujitaka K, Murai H, Kohno N.
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Journal Title
Respir Med
Volume: 107
Pages: 875-882
DOI
Peer Reviewed
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[Journal Article] A nationwide epidemiological survey of chronic hypersensitivity pneumonitis in Japan.2013
Author(s)
Okamoto T, Miyazaki Y, Ogura T, Chida K, Kohno N, Kohno S, Taniguchi H, Akagawa S, Mochizuki Y, Yamauchi K, Takahashi H, Johkoh T, Homma S, Kishi K, Ikushima S, Konno S, Mishima M, Ohta K, Nishioka Y, Yoshimura N, Munakata M, Watanabe K, Miyashita Y, Inase N.
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Journal Title
Respir Investig
Volume: 51
Pages: 191-199
DOI
Peer Reviewed
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[Journal Article] RASEF is a novel diagnostic biomarker and a therapeutic target for lung cancer.2013
Author(s)
Oshita H, Nishino R, Takano A, Fujitomo T, Aragaki M, Kato T, Akiyama H, Tsuchiya E, Kohno N, Nakamura Y, Daigo Y.
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Journal Title
Mol Cancer Res
Volume: 11
Pages: 937-951
DOI
Peer Reviewed
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[Presentation] MUC1 gene polymorphisms are associated with serum KL-6 levels and pulmonary dysfunction in pulmonary alveolar proteinosis.2013
Author(s)
Ohshimo S, Horimasu Y, Bonella F, Ishikawa N, Fujitaka K, Haruta Y, Murai H, Hirohashi N, Hattori N, Tanigawa K, KohnoN, Guzman J, Costabel U.
Organizer
2013 European Respiratory Society Annual Congress
Place of Presentation
バルセロナ、スペイン
Year and Date
20130907-20130911
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[Presentation] 3. Ethnic difference in the incidence of acute exacerbation in idiopathic pulmonary fibrosis.2013
Author(s)
Ohshimo S, Ishikawa N, Horimasu Y, Fujitaka K, Haruta Y, Murai H, Hattori N, Bonella F, Kohno N, Guzman J, Costabel U.
Organizer
American Thoracic society international Conference 2013
Place of Presentation
フィラデルフィア、アメリカ
Year and Date
20130517-20130522
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