2013 Fiscal Year Annual Research Report
外部環境に対応する臓器間代謝情報ネットワークメカニズムの解明
Project/Area Number |
25253067
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (A)
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
片桐 秀樹 東北大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (00344664)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 糖尿病 |
Research Abstract |
本研究では、研究代表者らが独自に見出した肝からの臓器間代謝情報ネットワーク経路について、それぞれの神経シグナル同士やレプチンなどの液性因子シグナルとの相互作用を分子レベルで詳細に検討するとともに、栄養素摂取やストレスなどの外部環境による影響や応答を解析し、これらの機序を解明する。これらの検討から、環境に応答し個体レベルで代謝を調節する多臓器生物の複雑な仕組みを解き明かすことを目的とする。 I. 臓器間神経ネットワーク機構と液性因子シグナルとの相互作用や連携 肝へのグルコキナーゼ遺伝子導入による臓器間ネットワークを活性化し、その後、末梢からレプチンを投与し、その影響を検討した。レプチン投与による脳視床下部でのPOMC、AgrPなどの発現変化は、肝でのグルコキナーゼ発現により影響を受けず、摂食量にも変化は見られなかったが、延髄縫線核におけるc-fos発現はレプチン投与前から低下し、投与後も増加を認めなかった。このことから、神経ネットワークと液性因子レプチンシグナルとは、視床下部から延髄の間でクロストークしていること、この神経シグナルはレプチンのエネルギー消費に関わる作用をブロックし新たなレプチン抵抗性を生じうることが証明された。 II. 臓器間神経ネットワーク機構同士の相互作用 肝PPARγ発現と肝グルコキナーゼ発現の経時的変化を検討し、体重増加前からグルコキナーゼが発現すること、体重増加後PPARγの発現が著名になることを見出した。III. 外部環境に応答する臓器間神経ネットワーク機構 慢性ストレス環境での飼育、あるいはenriched environment下で飼育を行い、これらの外部環境による糖代謝・エネルギー代謝に及ぼす影響を検討したところ、マウスの摂餌行動に変化が認められた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初交付申請時に記載した計画内容通りの解析を進め、25年度についてはほぼ計画通りに研究が進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
研究代表者らは、個体としての糖代謝やエネルギー代謝の調節機構に求心路・遠心路双方からなる神経ネットワークが重要な役割を果たし、臓器間の代謝情報の連絡や協調に重要な役割を果たしていることを次々と見出した。しかし、現時点では、臓器間の代謝情報をやり取りする導線となる経路がいくつか発見できたに過ぎない。本研究では、環境に応答し個体レベルで代謝を調節する多臓器生物の複雑な仕組みを解き明かすことを目的とする。今後は、肝からの新たな臓器間ネットワーク機構の解明、食事摂取中の栄養素による代謝調節の総合的な機構の解明大脳を経た環境因子の代謝に与える影響など、環境・脳・代謝の関連を臓器間ネットワークの観点から総合的に解き明かすことを目指して、それぞれの研究を推進する。 具体的には、肝選択的インスリン受容体欠損マウスの作成・解析、enriched environment下での飼育による外部環境の摂食に与える影響の詳細な機序の解明、食事構成栄養素による膵β細胞におけるインスリン分泌に与える影響の解明などを推進することを計画している。
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Research Products
(16 results)
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[Journal Article] Cognitive dysfunction associated with anti-glutamic acid decarboxylase autoimmunity: a case-control study.2013
Author(s)
Takagi M, Ishigaki Y, Uno K, Sawada S, Imai J, Kaneko K, Hasegawa Y, Yamada T, Tokita A, Iseki K, Kanno S, Nishio Y, Katagiri H and Mori E
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Journal Title
BMC Neurol
Volume: 13
Pages: 76
DOI
Peer Reviewed
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[Journal Article] Clinical Experiences in the Treatment of Pancreatic Arteriovenous Malformation by Total Pancreatectomy With Islet Autotransplantation.2013
Author(s)
Sakata N, Goto M, Motoi F, Hayashi H, Nakagawa K, Mizuma M, Yamaya H, Hasegawa Y, Yamaguchi S, Sawada S, Ottomo S, Okada T, Fukase K, Yoshida H, Ito T, Hirota M, Ishigaki Y, Sekiguchi S, Rikiyama T, Katayose Y, Fujimori K, Egawa S, Shimosegawa T, Katagiri H, Satomi S, Unno M.
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Journal Title
Transplantation
Volume: 96(5)
Pages: e38-e40
DOI
Peer Reviewed
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[Journal Article] Glycogen shortage during fasting triggers liver-brain-adipose neurocircuitry to facilitate fat utilization.2013
Author(s)
Izumida Y, Yahagi N, Takeuchi Y, Nishi M, Shikama A, Takarada A, Masuda Y, Kubota M, Matsuzaka T, Nakagawa Y, Iizuka Y, Itaka K, Kataoka K, Shioda S, Niijima A, Yamada T, Katagiri H, Nagai R, Yamada N, Kadowaki T, Shimano H.
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Journal Title
Nat Commun
Volume: 4
Pages: 2316
DOI
Peer Reviewed
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[Presentation] 全ゲノムCNV解析による若年発症2型糖尿病患者における複数領域の高頻度ゲノム欠失2013
Author(s)
児玉慎二郎, 山田哲也, 江見充, 工藤宏仁, 石井美穂, 佐藤秀則, 澤田正二郎, 今井淳太, 石垣泰, 岡芳知, 片桐秀樹
Organizer
第56回日本糖尿病学会年次学術集会
Place of Presentation
熊本
Year and Date
20130516-20130518
Invited
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[Presentation] 1型糖尿病と2型糖尿病の頚動脈血管壁弾性特性の比較検討
Author(s)
澤田正二郎, 石垣泰, 長谷川英之, 鴇田藍, 本蔵理恵子, 金子礼, 今井淳太, 山田哲也, 宮地幸哉, 金井浩, 岡芳知, 片桐秀樹
Organizer
第45回日本動脈硬化学会
Place of Presentation
東京
Invited
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[Presentation] 肝GKによるBAT熱産生低下が個体のエネルギー代謝に及ぼす効果は飼育温度に影響される
Author(s)
突田壮平, 山田哲也, 宇野健司, 高橋圭, 金子慶三, 白井勇太, 宗像佑一郎, 児玉慎二郎, 浅井洋一郎, 椙澤貴志, 千葉弓子, 澤田正二郎, 今井淳太, 石垣泰, 片桐秀樹
Organizer
第34回日本肥満学会
Place of Presentation
東京
Invited
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