2013 Fiscal Year Annual Research Report
未知なる歯髄細胞の機能を解析し、新たな歯髄再生療法の臨床的展開を目指す。
Project/Area Number |
25253101
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (A)
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Research Institution | Meikai University |
Principal Investigator |
横瀬 敏志 明海大学, 歯学部, 教授 (90245803)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
泉 利雄 福岡歯科大学, 歯学部, 准教授 (40248547)
川島 伸之 東京医科歯科大学, 医歯(薬)学総合研究科, 助教 (60272605)
尾関 伸明 愛知学院大学, 歯学部, 講師 (70469005)
西村 英紀 九州大学, 歯学研究科(研究院), 教授 (80208222)
金指 幹元 鶴見大学, 歯学部, 講師 (80339811)
池田 毅 長崎大学, 大学病院, 講師 (90244079)
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Project Period (FY) |
2013-10-21 – 2016-03-31
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Keywords | 歯髄細胞 / 象牙芽細胞 / 細胞分化 / 歯髄再生療法 / 三次元培養法 / ES細胞 / iPS細胞 |
Research Abstract |
平成25年度の研究計画に従い研究を遂行した結果、主に以下の三点について結果が得られた。 1. 歯髄の未分化間葉細胞から象牙芽細胞へと分化する過程で、重要な役割を果たす転写調節因子の中でも、wntシグナルが大きな役割を果たしていることが明確になった。このwntシグナルは象牙芽細胞の分化を抑制する方向で働くことがあり、これを抑制する因子であるectodinは象牙芽細胞で合成分泌されるタンパク質で、wntの発現と拮抗するように合成分泌されるnegative feed back機構芽存在することが分かった。象牙芽細胞は分化する過程でこのwnt発現とectodin発現を交互にコントロールすることによって細胞分化をコントロールしていることが分かった。 2. 歯髄以外の筋組織に存在する未分化幹細胞から象牙芽細胞を分化させるために、細胞接着因子であるintegrin の発現をコントロールすることにより、象牙芽細胞に分化させることが可能であることを突き止めた。さらにES細胞とiPS細胞から分化させた象牙芽細胞の増殖機能においてMMP-3が深く関与することが分かった。 3. 歯髄細胞をin vitroで象牙芽細胞に分化させるために、適切な足場(スキャフォールド)を検討したところ、コラーゲンゲルを用いた3次元培養法が単層2次元培養法に比較して分化が更新することが分かった。さらに酸素分圧の関係から3次元培養法では中心部分と周囲では細胞分化に違いが生じることが分かった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成25年度の実験計画では(1)歯髄組織の分化機構の解明のために歯髄細胞特有の転写調節因子を調べる、(2)歯髄以外の組織からの象牙芽細胞の分化を誘導能の可能性を探る、(3)歯髄組織の生体移植のための適切な担体を検討する、の3点にポイント絞った内容であった。これらに対して(1)では歯髄細胞に特徴的であるwntシグナルとectodinの関係が分かった。(2)では筋肉組織から象牙芽を分化させることが可能であることが示唆されたことやES細胞やiPS細胞から象牙芽細胞を分化させることができること示された。(3)に対しては歯髄細胞の三元培養法が確立できた。 以上の結果は当初の研究計画に従ったものでおおむね順調に進行していると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の推進方策に関しては、さらに歯髄細胞の分化に関与する転写調節因子を探る必要があり、さらには象牙芽細胞の分化機構に関与するDNAメチル化現象(エピジェネティクス)を詳しく調べる必要がある。このDNAメチル化現象に関しては今後とも必須課題になるために、各研究分担者には来年度の研究計画に織り込むことを周知徹底する。 生体への歯髄細胞の移植に関して、更なる担体と細胞を増殖、分化させるスキャホールドの開発が必要であり、三次元培養の更なる工夫が必要である。また、無血清培地による培養法の開発がまだ出来ていない為、この点も今後重点課題としたい。
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