2014 Fiscal Year Annual Research Report
未知なる歯髄細胞の機能を解析し、新たな歯髄再生療法の臨床的展開を目指す。
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25253101
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Research Institution | Meikai University |
Principal Investigator |
横瀬 敏志 明海大学, 歯学部, 教授 (90245803)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
泉 利雄 福岡歯科大学, 歯学部, 准教授 (40248547)
川島 伸之 東京医科歯科大学, 医歯(薬)学総合研究科, 助教 (60272605)
尾関 伸明 愛知学院大学, 歯学部, 講師 (70469005)
西村 英紀 九州大学, 歯学研究科(研究院), 教授 (80208222)
金指 幹元 鶴見大学, 歯学部, 講師 (80339811)
池田 毅 長崎大学, 大学病院, 講師 (90244079)
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Project Period (FY) |
2013-10-21 – 2016-03-31
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Keywords | 歯髄細胞 / 象牙芽細胞 / 細胞分化 / 歯髄再生療法 / ectodin / wntシグナル / 3次元培養 / Spheroid |
Outline of Annual Research Achievements |
平成26年度の研究計画に従って研究を遂行した結果、以下の結果が得られた。
1. 象牙芽細胞の分化にはSOSTdc-1 (ectodin)が重要な役割を果たしていることが昨年度までの研究て明確になった。すなわち、wntシグナルは骨芽細胞にとっては分化促進作用を示すが、興味あることに象牙芽細胞ては逆に分化を抑制することが分かった。象牙芽細胞ではwntシグナルがRunx2を誘導して、DSPPの発現を抑制することで、分化を抑制する。従って、象牙芽細胞が分化するためにはwntシグナル(象牙芽細胞てはwnt10a)が細胞膜に存在する受容体に結合するのを抑制する必要がある。そしてそのwntシグナルの抑制を担っているのがectodinである。ectodinがwntシグナルを抑制しDSPの発現を促進することを確認するために、ectodinのsiRNAを用いてノックダウンした結果、培養歯髄細胞でRunx2の発現が促進され、DSPの発現がコントロールのほぼ30%に減少していた。これはectodinの発現が抑制され、wntシグナルが活性化してRunx2を通してDSPの発現が抑制されたことを示す。また、ectodinのノックダウンを行った細胞にタンパク質であるectodinを添加したところ、Runx2の発現が抑制されDSPの発現がコントロール群の細胞のおよそ80%まで回復した。これらの結果によりectodinは象牙芽細胞の分化にとって重要な因子であり、wntシグナルを通して象牙芽細胞の分化がコントロールされていることが明らかとなった。
2. 歯髄未分化細胞を3次元培養してマウスの生体に戻すことによって歯髄組織を再生させ、象牙質形成を可能にするspheroid培養システムを開発した。これは歯髄血管再生療法につながる結果である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は象牙芽細胞の分化にとって重要な機能であるwntシグナルとそのアンタゴニストであるectodinの作用が明確のなったことは大きな進歩である。骨芽細胞では分化促進として知られているwntシグナルが象牙芽細胞では逆に分化抑制因子であることは、歯髄細胞を再生療法へ応用する重要な情報になる。さらに3次元培養でもspheroidを用いた培養法の完全な確立は歯髄組織の再生療法には必須であり、臨床応用に極めて有用な結果である。以上のことからこれまでの研究の目的達成度はおおむね順調と判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は最終年度になるため、以下の4点について推進し、成果報告に重点を置く。 1 wntシグナルとectodinのカスケードをさらに明確にする。特にRunx2との関係を明確にする。 2 3次元培養(sheroid)を利用した歯髄血管再生療法の動物実験を行う。 3 iPS細胞から象牙芽細胞を分化させ、wntシグナルの作用を歯髄細胞と比較検討する。 4 歯髄細胞の分化にとって最適なスキャホールドを完成させる。 以上の4点を中心に研究を遂行し、各分担者間の連絡を密に取り成果報告を取りまとめ、学会発表と論文作成を行う。
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