2014 Fiscal Year Annual Research Report
ラオスの小規模社会集団における人口動態・再生産・生業変化の相互関係の解明
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25257004
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
横山 智 名古屋大学, 環境学研究科, 教授 (30363518)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中川 聡史 神戸大学, 経済学研究科(研究院), 准教授 (10314460)
佐藤 廉也 九州大学, 比較社会文化研究科(研究院), 准教授 (20293938)
白川 千尋 大阪大学, 人間科学研究科, 准教授 (60319994)
高橋 眞一 新潟産業大学, 経済学部, 教授 (80030683)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | ラオス / 小規模社会集団 / 人口動態 / 再生産 / 生業 / 出稼ぎ / 地理学 / 人口学 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は、タイへの出稼ぎ者が多いラオス南部の低地農村であるグッヒー村の住民を対象として、住民全員の詳細なデータ(世帯内の家族構成、出生、死亡、移動)を得ることに全力を注いだ。具体的には、以下の研究活動を実施した。 今年度の調査に先立ち、第1回の国内ミーティングを2014年6月28日を名古屋大学で実施し、昨年度の調査結果を踏まえて、研究方針と調査内容についての計画を立てた。 2014年9月のラオス・サワンナケート県ソンコン郡グッヒー村での調査には、4名が参加し、共通の調査票を用いた全世帯の人口学的調査、およびこれまで分かっていなかった家族の系譜について調べた。また、ラオスでの調査に加えて、タイ・バンコクにおいて、ラオスの調査地からバンコクに出稼ぎに来ている住民への調査票形式の聞き取り調査を実施した。さらに、今年度2回目のラオス現地調査を2014年12月に実施し、4名が参加して調査票を用いた全世帯の人口学的調査、世帯居住の若者世帯に対する調査)、全世帯の水田所有と動態、再生産の空間、公衆衛生政策と再生産、家族の系譜に関する補完調査を実施した。 9月と12月の現地調査の結果について議論するために、第2回目の国内ミーティングを2015年1月16〜17日に九州大学で実施した。来年度の活動予定に加えて、ソンコン郡グッヒー村のデータを照合して、データをメンバー全員で共有化するための作業を実施した。そして、2015年3月に、今年度2回目となるタイ・バンコクでのラオスからバンコクへの出稼ぎ者への調査票形式の聞き取り調査を3名のメンバーで実施し、ラオスのひとつの村からタイへ出稼ぎに出た住民合計80名強のデータを得た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では、低地農村と山村の2カ所について、人口変動、再生産、生業の相互関係を明らかにすることを目的とし、初年度(H25)に、4年間の調査期間のうち、最初の2年間は低地農村であるラオス・サワンナケート県ソンコン郡グッヒー村で調査をすることを決定した。 今年度は、低地農村の調査を終わらせることを目標として研究を推進したが、今年度だけでも4回の海外調査を実施し、ラオス低地農村の人口動態、再生産、生業(水田稲作)に関するデータの取得はほぼ完了することができた。これまで取得したデータは、大きく分けて以下の3種類である。 (1)世帯データ(構成員、出生、死亡、移動) (2)現時点での出稼ぎ者 (3)村内の水田所有データ これまで取得した上記のデータの精度をより高めるための補完調査を今後も継続する必要があるが、基本となるデータの取得は終了しており、今後はこのデータを用いて分析を進めることができる。したがって、本研究は、概ね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の2年間は山村であるラオス・サワンナケート県セポン郡アランノイ村を中心に調査を実施する。そのための準備として、今年度末に住民の栄養摂取を調査するための食生活調査を開始した。これは、まだ試験的な調査であるが、数ヶ月間の試行を行って、本調査へと進めていく予定である。 また、世帯データ(構成員、出生、死亡、移動)についても、基礎的な調査は初年度(H25)に実施しているので、そこで得られたデータについて、補完的調査を数回実施して、村の出生率などを推計できるぐらいの精度へと高めていきたい。また、生業に関しても、過去3年間分の焼畑陸稲策の耕地面積などのデータは、衛星データおよび現地でのGPS測量で得られているので、その耕地から得られた米の収量についての調査などを本格的に実施していきたい。
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Research Products
(13 results)