2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
25257010
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (A)
|
Section | 海外学術 |
Research Institution | Sophia University |
Principal Investigator |
石澤 良昭 上智大学, アジア人材養成研究センター, 教授 (10124851)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
CYRIL Veliath 上智大学, 外国語学部, 教授 (10216202)
田畑 幸嗣 国際基督教大学, 付置研究所, 研究員 (60513546)
丸井 雅子 上智大学, 外国語学部, 准教授 (90365693)
|
Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
|
Keywords | 東洋史 / アンコール王朝 / 碑文研究 / 南シナ海からベンガル湾に通じる物流ネットワーク / 王道 / 古環境復元 / 国際研究者交流(タイ、ベトナム、ラオス) |
Research Abstract |
本研究の2つの研究目的:(1)碑文情報検証研究、(2)碑文に記載された3か所の遠隔地遺跡の調査、についてH25年度は次の通り研究を実施した。具体的には、(1)アンコール王朝の最盛期と考えられる12世紀から13世紀にかけての史料であるカンボジア碑刻文を、最近の収集資料も含め検証対象とし、リスト化、解釈再検討、を進めた。さらに碑文の出土分布状況を整理した。更に(2)2013年8月後半に、アンコール地域における考古資料及び碑刻文資料の調査、続いて2014年2月後半、アンコール地域(カンボジア)から西方ルートの王道沿いに碑文と関わり合いのある遺跡の調査を実施した。以下、詳細をまとめる。 [詳細]ムアン・シン寺院検証研究調査(2014年2月20日-28日):ムアン・シン遺跡は、現在のタイ国内西端のミャンマーとの国境近くに在り、歴史上アンコールとは1191年の仏像(観世音菩薩)奉納における接点が指摘されている。今回の海外調査では、研究分担者及び研究協力者はアンコール(カンボジア)を陸路出発し、西側王道ルート沿いの12-13世紀碑文が出土する遺跡を踏査し、最終的にムアン・シンへ至った。途中、スドック・カク・トム碑文で有名な同遺跡を通過し、プラチン・ブリでは出土碑文資料や同時代の物質文化等を博物館で実見する機会を得た。ムアン・シンではジャヤヴァルマン7世紀の寺院建築の他、周辺地域の東西物流ネットワークの痕跡を現在の道路に見出すことができた。 アンコールから西側の王道を中心に、碑文、建築、考古、さらに石橋や道路などの土木事業を比較検証した結果、アンコールという中央と、周縁(H25年度はアンコールからみて西側)という地方との関係や、物流、さらにそれぞれの特徴(地方色)等にある方向性を見出すことができた。また研究課題として、中央と周縁の関係を更に検証していくことも必要でああることが確認された。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
国内においては、研究分担者及び研究協力者による研究会議を頻繁に実施したことで、研究目的に対するメンバー間の相互意志疎通、情報交換、進捗状況の確認と議論がスムーズに展開した。また、研究分担者による公開講演会を兼ねた研究会も開催し、広く学術的に分担者の研究実施状況の水準を問うことが可能となった。 国際研究協力については、海外調査にむけての予備調査およびカウンターパートとの事前交渉を2013年6月に実施したことで(カンボジア、タイ)、その後の海外調査(2013年8月カンボジア、2014年2月カンボジア-タイ)の事前準備を早い段階から相手側機関と相談し計画を具体的に練りこんでいくことができた。これが実際の調査が問題なく大きな成果を上げることができた理由と考えらえる。海外調査に関しては、研究分担者の他歴史学、建築学等の専門分野から検証を加えるための研究協力者が参加し、研究代表者による碑文に基づく仮説に具体的な肉付けをもたらす現地調査が実施できた。 以上は当初の研究計画の遂行目的にほぼ合致するものであり、おおむね順調に進展していると判断する。 なお、H25年度は次の各国研究機関と国際研究者交流を実施した。いずれも日本側メンバーが相手先に出向き学術交流を実施した。カンボジア(アプサラ機構)、タイ(芸術局)。
|
Strategy for Future Research Activity |
先ず研究計画の変更がある。研究計画では、H26年度はワット・プー(ラオス)現地検証研究、引き続きH27年度にポスト・オケオ現地検証研究、が実施されることとなっている。これをH26年度にポスト・オケオ、H27年度にワット・プー、と入れ替えたい。理由は上述H25年度研究実績の通り、ムアン・シン遺跡等の現地検証調査を通じてアンコールとアンコール以西の関係について碑文、建築学、考古学等から一定の成果を得ることができた。引き続き、H25年度の研究成果との比較検証のため、今年度H26年度はアンコールとアンコール以東の現地調査に取り組む必要が生じたためである。なお、H27年度はワット・プーに焦点を当てる。 引き続き、研究分担者による研究遂行と成果発表に加え、メンバー間の研究会議を通じて相互研究進捗状況の確認と検証を実施する。
|
Research Products
(8 results)