2013 Fiscal Year Annual Research Report
太陽光発電と命の水:無作為化フィールド実験による制度設計
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25257102
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
金子 慎治 広島大学, 国際協力研究科, 教授 (00346529)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊藤 高弘 神戸大学, 国際協力研究科, 准教授 (20547054)
平田 道憲 広島大学, 教育学研究科(研究院), 教授 (30111660)
後藤 大策 広島大学, 国際協力研究科, 准教授 (80432847)
小松 悟 長崎大学, 多文化社会学部, 准教授 (80553560)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 無作為フィールド実験 / 太陽光発電 / 水へのアクセス / 貧困削減 / SWPS / ネパール |
Outline of Annual Research Achievements |
ネパール山岳無電化地帯には無電化、無給水地域が多く存在する。こうした地域では、飲み水確保のため多くの時間と労力を費やして徒歩で水汲みを行っている。そして、こうした活動は多くの場合女性や子供が担う場合が多く、短期、長期に大きな社会的損失を生むと考えられる。他方、世界的な太陽光発電市場の発展により、ネパールにおいても太陽光発電設備が比較的安価に利用できるようになり、近年、太陽光発電によるコミュニティー給水システム(SWPS: Solar Water Pumping System)の導入を支援する政府の補助金プログラムが始まっている。 本研究では、SWPS導入による地域住民に対する真の効果や影響を理解することを第一に設定すると同時に、補助金プログラムに応募するために必要な条件整備に有効な政策手段、ならびに持続的かつ自立的に導入後の管理運営ができる体制、所得向上や社会的福祉の向上に必要な追加的インターベンションのあり方などを検討することを研究スコープに含める。そのために、無電化、無給水システムのコミュニティー(wards)を対象に無作為化フィールド実験を行い、複数のインターベンションと家計調査を組み合わせてデータを取得し、さまざまな計量経済学的分析により効果や影響の同定と政策提言を行うことを目的とする。 平成25年度は、4回の国内会議、3回の現地調査(事前調査、調査員のトレーニングと選定、現地調査チームとの打ち合わせ)を実施した。調査対象とする60のwardsの無作為化抽出の前提となるデータベース構築に想定以上の時間がかかり、第一回目のベースライン調査実施の開始が遅れた。そのため、予算の繰越を申請し、 平成26年度にバースライン調査を実施した。調査に影響する地域で大規模な地滑りが発生し、調査はさらに遅れたものの、平成26年度中に調査は完了した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成25年度の活動として計画していた内容は、予算繰越を行い、平成26年度に完了したものの、この遅れによってインターベンションの準備やデータ化のための人員の配置などに困難を生じ、達成度としてはやや遅れている。ただし、インターベンションを遅れていたベースライン調査と同時並行で行うことにより、この課題に対応しつつあり、大幅に遅れているとまでは言えないと考えるため。
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Strategy for Future Research Activity |
当初計画にしたがって、第一回ベースライン調査とインターベンションを実施し、分析に必要なデータを構築する。第一回ベースライン調査の経験から60wardsの全数を調査するために6ヶ月程度の時間がかかったことから、3ヶ月を想定して毎年調査を実施する当初計画は変更せざるを得ず、4年間の研究期間の中で少なくとも2回(2時点)のデータ取得が確実にできるように進めることにした。さらに、想定外の自然災害と当初計画が楽観的すぎたことから、4年間では当初計画していた水準までの十分な分析結果を議論するには不十分であることが明らかになってきたことから、本研究の成果を無駄にしないためにデータ取得、分析が継続してできるように継続研究資金の獲得の準備も併せて行うこととした。
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Research Products
(2 results)