2015 Fiscal Year Annual Research Report
温室期サンゴ化石による高精度気候復元と海洋生物応答の解明:温暖化未来へのアナログ
Project/Area Number |
25257207
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
渡邊 剛 北海道大学, 理学(系)研究科(研究院), 講師 (80396283)
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Project Period (FY) |
2013-10-21 – 2018-03-31
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Keywords | 生態系保全 / サンゴ礁 |
Outline of Annual Research Achievements |
将来の温暖化とそれに伴う海洋酸性化は、海洋生物に深刻な影響を与えることが予想されているが、未だに、温暖化や酸性化の実態とそれに伴う海洋生物への影響は明らかになっていない。本プロジェクトでは、過去数百年間における高解像度気候復元に成功している造礁性サンゴ骨格の年輪解析の手法を、白亜紀以降の9つの規模と要因が異なる温室期の化石サンゴに応用し、1)温室期環境(水温、塩分、二酸化炭素濃度、海洋酸性度、栄養塩濃度)の季節―数年変動の定量的復元を試みる。さらに、それぞれの時代の造礁性サンゴの成長特性を解析することにより、2)過去および将来の温室期における礁性生物の適応を探る。これらの成果は、将来の温暖化地球における海洋の環境変動とそれに伴う海洋生物への影響を予測する上で、世界でもはじめての重要な一次情報となる。インド洋に面するオマーン、カリブ海のケイマン諸島、北太平洋のハワイ諸島陸上調査及び海洋調査により得られた試料について、酸素、炭素、窒素安定同位体比を分析を行った。化石試料については、放射性炭素同位体比、ウラン同位体比を測定してそれぞれの試料の年代を求めた。得られた結果は、生息当時の水温、塩分、二酸化炭素濃度、海洋酸性度、栄養塩濃度などの海洋環境を復元するために、現場海域の海洋環境とキャリブレーションをした後に気候/環境要因へと復元される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初の計画では、オマーンにおける過去の温暖期の海洋環境の復元とその海洋生物への応答を解明する計画であった。日本、フランス、ドイツ、台湾、オマーンによる国際共同が予想を超えて順調に作用し、オマーンでの試料採取が広範囲で得られた。また、それらの国際共同研究の枠組みが発展的に拡張され、新たに、アメリカのハワイ諸島、喜界島などの調査からも試料を得られる見込みとなった。また、国際共同により試料採取から同位体比や元素分析などの解析が加速されたために、効率よく成果が得られるようになった。また、喜界島に拠点を設置することにより試料管理の一元化と試料の加工が効率化されたことも予想以上の進展に貢献した。
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Strategy for Future Research Activity |
国際共同研究の枠組みを強化維持しながら本プロジェクトを加速させる。陸上及び海洋サンゴ掘削をハワイ、喜界島、オマーン、スリランカ、東ティモールなどにも展開してより多くの異なる温暖期からサンゴ試料を得る。また、室内実験も国際共同研究の枠組みを利用して各チームの強みを生かした予備解析、試料処理、精密分析までの流れをシームレスに実現させることにより、また、喜界島に設置された拠点を利用して試料管理の一元化を行うことにより試料採取から解析までの過程を加速させる。得られた成果は、国際会議や海外合同調査及び研究の際に議論され、国際誌や国際学会などで順次公表を行う。
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Research Products
(21 results)
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[Journal Article] Temporal and vertical distributions of anthropogenic236U in the Japan Sea using a coral core and seawater samples2016
Author(s)
Sakaguchi,A., Nomura,T.,Steier,P., Gloser,R., Sasaki,K., Watanabe,T., Nakakuki,T., Takahashi,Y., Yamano,H.
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Journal Title
Journal of Geophysical Research: Oceans
Volume: 121
Pages: 4-13
DOI
Peer Reviewed / Open Access / Int'l Joint Research
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[Journal Article] δ11B, Sr, Mg and Ba in Acropora digitifera cultured under acidified seawater: Effects of seawater pH on trace element incorporation into coral aragonite2015
Author(s)
Tanaka, K., Holcomb M., Takahashi, A., Kurihara, H., Asami, R., Shinjo, R., *Sowa, K., Rankenburg, K., Watanabe, T., McCulloch, M.
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Journal Title
Coral Reefs
Volume: 34
Pages: 1139-1149
DOI
Peer Reviewed / Open Access / Int'l Joint Research
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[Journal Article] Middle Holocene daily light cycle reconstructed from the strontium/calcium ratios of a fossil giant clam shell2015
Author(s)
Hori, M., Sano,Y., Ishida, A., Takahata, N.,Shirai, K., Watanabe,T.
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Journal Title
Scientific Reports
Volume: -
Pages: -
DOI
Peer Reviewed / Open Access
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[Presentation] Environmental changes and coral growth histories during last 100 years recorded in mid-latitude massive Porites corals2015
Author(s)
Tsuyoshi Watanabe, Atsuko Yamazaki, Takashi Kawamura, Jumpei Isasa, Kanae Kamimura, Kazuto Ohmori, Tsuzumi Miyaji, Shoko Sekiya, Kohki Sowa, Takashi Nakamura, Saori Ito, Rie Nakaya, Hiroto Kajita,Fumihito Iwase, Keiichi Nomura, Kaoru Sugihara, Osamu Abe, Tatsuhiko Sakamoto, Masafumi Murayama, Hiroya Yamano
Organizer
喜界島国際サンゴ礁科学シンポジウム
Place of Presentation
喜界町中央公民館(鹿児島県喜界島)
Year and Date
2015-08-23 – 2015-08-24
Int'l Joint Research
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